ryomiyagi
2020/09/01
ryomiyagi
2020/09/01
エンジェル・サンチェスやCCメルセデスの怪我による離脱、田口麗斗の不調などで、先発ローテーションは苦しんだ8月だった。しかし、エース菅野智之と2年目の戸郷翔征が先発した試合は必ず勝利し、その穴を2人で埋めたと言っても過言ではない。
特に菅野は、中5日で登板した8月18日の阪神戦では高橋遥人との投手戦を1対0で完封し、翌週のヤクルト戦では苦手の神宮球場で先制点を与えながらも7回91球2失点にまとめる投球を見せて、開幕から9連勝。エースとして素晴らしいパフォーマンスを残している。
今年の菅野の投球は、2017年〜2018年のような圧倒的な投球スタイルではないものの、前回の課題点や試合序盤の課題点を、上手く修正した上での試合の流れを作る「ゲームメイク力」は、これまでのキャリアで飛び抜けているに違いない。
さらに、今シーズンはスラッターとスライダーを分けた上で球種ごとの配分も変化させており、より一層視座が高い投球ができていることが、今の結果に繋がっているだろう。
高卒2年目の戸郷は、課題だったストレートの質が向上し、規定投球回数にこそ未到達ながらも、防御率は1.90(8月31日時点)を記録している。勝ち星も既に7つあげており、9月には二桁勝利に届くのも夢ではないペースだ。
当初は高卒2年目のため、球数制限を設けることと、チーム状況に余裕が生まれた際は登板間隔も空けていくことを個人的には推奨していたが、菅野を除いた先発陣で彼以上の投手がいない状況となっている。
球審の判定によってランナーを出した際に、多少崩れやすい部分は課題だろう。良くも悪くも「若さ」が出ているため、そうしたネガティブな局面でギアを引き上げられるかが、今後の更なる飛躍のポイントになっていくだろう。
もう一つの課題として、強いて言うならば炭谷銀次朗以外の捕手と組んだ際にも同じレベルのパフォーマンスを発揮してほしい。日本シリーズとオープン戦では大城卓三とバッテリーを組み、いずれも打ち込まれていることから、今後のリターンなども考慮すると、大城やこれから復帰の目処が立ちそうな小林誠司といった捕手陣とバッテリーを組んだ時、今のようなパフォーマンスが残せるか見てみたい。
7月に引き続き8月も、ブルペン陣の厚さで勝ち星を拾った試合は多い。
下記が、主なブルペン陣の成績である。
中川皓太 22試合 1勝 1敗 8H 5S 防御率0.81
高梨雄平 17試合 1勝 0敗 9H 防御率0.56
大江竜聖 18試合 2勝 0敗 3H 防御率2.33
大竹寛 18試合 1勝 1敗 10H 防御率1.69
デラロサ 11試合 0勝 0勝 1H 7S 防御率0.93
現状は、上記の投手陣を中心に試合終盤を支配している。また、その他にも鍵谷陽平や田中豊樹などのスラッターを擁する選手や高木京介、藤岡貴裕といったシーズン序盤にブルペン陣を支えた左腕が2軍に控えている。
さらには、先発で不調の田口や畠世周も中継ぎの経験があることから、連戦が続く9月から第二先発や中継ぎに配置転換した上で、ブルペン陣を強化していくことも一つの手段だろう。
課題点としては、開幕当初から一貫して述べているが、勝ちパターンや接戦試合に出てもらう「A級投手」と、大差のついた試合に投入する投手の起用法だ。高梨や大江といった選手を大差の展開でも起用していることから、8月下旬からは若干状態が落ちてきた兆候もある。開幕当初も澤村拓一を乱用して不調に陥らせてしまったが、今後は各点差における投手起用をしっかり管理していくことが9月の大型連戦を勝ち抜くためのポイントなるだろう。
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.