BW_machida
2020/09/02
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2020/09/02
今年の巨人は、坂本勇人、丸佳浩、岡本和真といった選手の調子がなかなか上がりきらず、3割打者が1人もいない。チーム全体では8月31日時点でリーグ3位の.260を記録している。
それでもリーグトップの283得点を記録しており、得点圏打率は.293と12球団中1位である(8月31日時点)。要所での力の入れどころが分かっている結果だろう。
こうした数字からも見える試合の進め方やチームのスタイルは、2014年のシーズンに類似していると見ている。このシーズンも、3割打者が1人もいなかったものの(チームトップは長野久義の.297)、得点圏打率は12球団トップの.290を記録し、要所で得点して僅差で逃げ切る試合が多かった。
加えて、終盤にランナーが出た際に代走の切り札である増田大輝を投入し、相手にプレッシャーをかけた上で得点するパターンも2014年を彷彿とさせる。この年も試合終盤、2アウトからでもランナーが出た際には、高い確率でホームへ帰ってこれる鈴木尚広を起用して1点をもぎ取っていた。
チームとしての盗塁成功率も、今シーズンと2014年のシーズンはリーグトップを記録しており、盗塁の確実性の高さを活かして相手チームにプレッシャーをかけている。
また、守備面でもチーム全体では15失策と12球団トップクラスの数字だ(8月31日時点)。これまた2014年も失策数はリーグトップの71だった。
なお今シーズンは、2014年よりも全体的な打力が高く、先発と中継ぎを含めた投手力も比較的良いため、接戦での試合運びや起用法、運用が行き届かなくても勝ちを拾えている。
原采配との連動性も良く、残りのシーズンもこうして「上手に」勝ち星を拾うことで優勝へ近づくだろう。
今後の巨人打線の鍵になるのは、坂本・丸の調子が上がりきること、そして岡本の復調に違いない。
丸の場合は、7月は中旬以降に調子を上げていき、月間打率3割を超えて復調の兆しが見えていたが、8月は中旬まで開幕当初のような不調で状態が上がりきらなかった感が否めない。
8月中旬以降も7月と同様に調子を上げていき、8月最後の試合だった中日戦では4安打を記録した。8月末時点で、シーズンを通した打率も岡本を越えてチームトップに躍り出た。
9月は、8月中旬以降の調子を落とさずさらに上げていき、バットでチームを引っ張る活躍に期待だ。
坂本は2割前半をうろうろしていた状態だったが、丸と同様に8月中旬以降から調子が上がり始めている。坂本もギアが上がり切らない部分があったため、丸と同様になるが、9月に状態が上がることで打線に厚みをもたらしてほしい。
岡本もオープン戦から6月までは、キャリアハイを期待できる打撃を見せていた。しかしフォームを崩してしまい、本塁打、打点はリーグトップの数字を維持しているものの、7月と8月の打率は2割台前半に終わった。大型連戦や日本シリーズ含め、彼の復活は必要不可欠である。
坂本・丸が調子の状態が戻ることにより岡本の負担を軽減した上で、岡本を含めたコア3選手が打線を引っ張る本来の姿に期待したい。
7月と8月にチームを引っ張ったゼラス・ウィーラーや8月に打率.360を記録した中島裕之といったパリーグ出身の打者の活躍が、夏場は非常に目立った。この2選手は今後も優勝に向けてのキーパーソンになるため、定期的に休養を与えながら打席に立たせていくことが重要だ。
また、怪我で離脱しているジェラルド・パーラやフルで出場できる状態ではない亀井善行あたりが9月以降に戻ってこられるかどうかも注視していきたい。
現状は、計算できる左打者が大城卓三と丸しかいないため、重信慎之介などの起用法も鍵になっていくだろう。さらに、松原聖弥も突如出てきた選手に特有の「1ヶ月スパンの活躍」の可能性もあるので、野手も上手く運用していき、パーラや亀井の穴を埋めていってほしい。
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