巨人軍の2010年代をプレイバック【2012年】長野、坂本、阿部のコアが引っ張る野手陣と屈指の投手陣で日本一に輝く
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

ryomiyagi

2020/05/23

新型コロナウイルスの影響で、開幕の見通しが立たないプロ野球。
こんな時だからこそ、過去を振り返ってみるよい機会かもしれません。そこでプレイバック企画として、お股クラスタの一人、ゴジキ氏(@godziki_55)に2010年代の巨人軍を振り返ってもらいました。

 

 

2012年
シーズン成績:86勝43敗15分 勝率.667 1位
ポストシーズン成績:CS Final 4勝3敗、日本シリーズ 4勝2敗 日本一

 

2012年の巨人は交流戦優勝をはじめ、リーグ優勝と日本一、クライマックスシリーズ制覇、アジアシリーズ制覇の5冠に輝いた。2010年代のセリーグ球団で、日本一まで成し遂げた球団は巨人のみである。
このシーズンでは、最多安打を獲得した長野久義は主に1番として打率.301 14本 60打点 OPS.815の成績を残し、同じく最多安打を獲得した坂本勇人も3番として打率.311 14本 69打点 OPS.815の成績を残した。
チームの大黒柱である阿部慎之助は、一時期は三冠王も視野に入るほどの好成績で、最終的には打率.340 27本 104打点 OPS.994の成績を残し、歴代捕手シーズン最高打率の記録と共にMVPはもちろんのこと、首位打者と打点王を獲得した上でOPSもリーグ1位になり、キャリアハイのシーズンとなった。

 

その他の選手では、右の代打矢野謙次はシーズン最終戦の本塁打を含む打率.307 1本 4打点 OPS.787の成績を残し、左の代打の切り札石井義人は、代打打率.405と得点圏打率.444を含む打率.315 0本 14打点 OPS.745という成績を残した。

 

投手陣は、エース内海哲也が15勝6敗 防御率1.98で2年連続の最多勝や交流戦MVPを獲得。日本シリーズでも2勝0敗 防御率1.20の活躍を見せてMVPを獲得した。2年目の澤村拓一も前年日本一のソフトバンク戦で6回まで無安打ピッチングを含む33回2/3の連続イニング無失点記録などの活躍で、2年連続二桁勝利を記録して先発ローテーションの一角を担った。

 

また、この年からは新外国人のスコット・マシソン、長年に渡り中継ぎの柱として活躍していた山口鉄也、この年からはクローザーを任された西村健太朗の3人を並べた勝ちパターンである通称「スコット鉄太朗」が確立された。中でも山口は、1998年の佐々木主浩以来となる開幕24試合連続無失点のセリーグ記録に並ぶ活躍で、最優秀中継ぎ投手を獲得した。

 

新戦力の杉内俊哉とデニス・ホールトン、村田修一の貢献度も高く、杉内に関しては、交流戦で史上75人目のノーヒットノーランを達成。シーズンで12勝4敗 防御率2.04の記録を残し、ソフトバンク時代と同様に奪三振を取っていく投球スタイルで最多奪三振のタイトルを獲得。勝率、WHIPもリーグ1位という成績を残した。ホールトンも12勝8敗 防御率2.45という成績で、ローテーションの一角を担った。村田は巨人に加入した重圧もありながらフル出場を果たし、衰えが見え始めた小笠原の穴を埋める活躍を見せた。

 

クライマックスシリーズでは、最初の2戦はシーズン終了からシリーズ開始までのブランクが影響し、主に打撃面で試合勘の無さが露呈し、競り負けた。3戦目は、クローザーの西村が最後に打たれたものの、打撃面は調子が上がる兆しは見えていた。3連敗で迎えた4戦目は坂本、阿部のタイムリーで先制し、先発の澤村も好投をして、意地を見せて踏み止まった。5戦目は、中3日で内海を先発に回し、福田聡志のロングリリーフやマシソンで繋ぎ、2点に抑え、9回に代打の切り札石井のタイムリーでタフな試合を制し、3勝3敗のタイに。そして6戦目で4対2のスコアで勝利し、日本シリーズ進出を決めた。

 

日本シリーズ初戦は阿部が技ありのタイムリーで先制し、ジョン・ボウカーの本塁打などで吉川光夫を攻略。得点を積み重ねて内海の好投で初戦を制した。2戦目は長野の先頭打者本塁打で先制し、澤村が8回まで好投。シリーズ2勝目となった。3戦目はホールトンで負け、4戦目は延長の末破れて2勝2敗のタイになった5戦目は、1戦目と同様に内海と吉川の両先発となったが、この試合でもボウカーが本塁打を放ち、内海が好投して日本一まであと1勝となった。

 

そして、6戦目は矢野のタイムリーや長野の本塁打で3点のリードで試合を進めていたが、6回に中田翔の3ラン本塁打で追いつかれ、振り出しに戻る。その中で、この年の主役である阿部が決勝タイムリーを放ち、最後は山口がピンチの中で糸井嘉男を抑えて、3年ぶり22度目の日本一を決めた。

 

【主な先発陣】

 

内海哲也 15勝6敗 186回 防御率1.98
澤村拓一 10勝10敗 169回2/3 防御率2.86
杉内俊哉 12勝4敗 163回 防御率2.04
ホールトン 12勝8敗 158回 防御率2.45
宮國椋丞 6勝2敗 97回 防御率1.86

 

【主な救援陣】

 

山口鉄也 72試合 3勝2敗44H5S 防御率0.84
西村健太朗 69試合 3勝2敗12H32S 防御率1.14
マシソン 40試合 2勝0敗8H10S 防御率1.71
福田聡志 50試合 8勝1敗17H 防御率1.61
高木京介 34試合 2勝0敗10H1S 防御率0.57
高木康成 40試合 3勝1敗6H 防御率1.44
田原誠次 32試合 2勝0敗7H 防御率3.26

 

【主な野手陣】

 

長野久義 打率.301 14本 60打点 OPS.815
坂本勇人 打率.311 14本 69打点 OPS.815
阿部慎之助 打率.340 27本 104打点 OPS.994
村田修一 打率.252 12本 58打点 OPS.690
高橋由伸 打率.239 8本 56打点 OPS.707
松本哲也 打率.258 0本 11打点 OPS.626
谷佳知 打率.250 3本 22打点 OPS.618
矢野謙次 打率.307 1本 4打点 OPS.787
石井義人 打率.315 0本 14打点 OPS.733

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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