ryomiyagi
2020/08/18
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2020/08/18
投手王国東海大相模が栄冠に
この年の東海大相模は、前年夏の甲子園を経験した小笠原慎之介と吉田凌というドラフト指名クラスの投手2枚を軸に優勝を飾った。また、野手陣も杉崎成輝を中心に得点力があった。神奈川大会決勝では、藤平尚真や増田珠らがいた横浜に9対0のスコアで圧倒して甲子園出場を決めた。
東海大相模は甲子園でも初戦から順調な試合運びを見せた。初戦は福島の強豪・聖光学院だったが、初回から攻め立てて4点のリードを奪う。先発はエースの小笠原ではなく吉田だったが、8回1/3を投げて試合を作り初戦突破に貢献した。
3回戦の遊学館戦も初回から4点のリードを奪い、優位に試合を進めた。先発の小笠原も8回まで2失点の好投を見せて、2番手の北村朋也に良い形で繋ぐ。11対2の大勝で準々決勝に進んだ。
準々決勝の花咲徳栄戦も東海大相模は先制したが、すぐさま花咲徳栄は吉田を攻め立てて逆転に成功。その後互いに1点ずつ追加したまま終盤に差し掛かり、東海大相模に暗雲が立ち込める。しかし、この試合当たっていた長倉蓮の犠牲フライで追いつき、最終回には杉崎がタイムリー。見事なサヨナラ勝ちで準決勝に進んだ。この試合では、2番手としてマウンドに上がったエース小笠原の試合中盤以降の好投も光った。
準決勝の相手はオコエ瑠偉を擁する関東一だったが、この試合も東海大相模が初回から4点を先制した。先発の吉田も前回の試合とはうって変わり、序盤からオコエを完璧に抑え、7回まで1失点の好投を見せた。この試合も危なげなく10対3のスコアで勝利し、決勝進出を決めた。
決勝は、明治神宮大会優勝校であり佐藤世那と郡司裕也のバッテリーや平沢大河を擁する仙台育英との対戦だ。大会前の下馬評通り、実力校同士が勝ち上がった。
この試合も、初回に東海大相模が杉崎のタイムリーで先制。3回、4回にも追加点を挙げて仙台育英を突き放して、優勝の後押しをする。
しかし、仙台育英も意地を見せる。3回に郡司のタイムリーなどで追い上げ、6回には満塁のチャンスで佐藤将太が同点タイムリースリーベースを放つ。
7回、8回は互いに譲らず、9回に試合が再び動いた。小笠原が自らのバットでホームランを放ち、勝ち越し。その後も追加点を上げて、東海大相模が45年ぶりの夏優勝を飾った。
スーパー1年生早稲田実業・清宮幸太郎
この年の夏は、東海大相模の他に早稲田実業の清宮幸太郎が「主人公」だった。
1年生とは思えない恵まれた体格を活かし、入学当初から本塁打を量産するなどの活躍を見せた。西東京大会では、決勝の東海大菅生戦を含む6試合連続安打を記録する活躍で甲子園出場に大きく貢献した。このチームの核となっていたのは3番清宮と、4番捕手に座っていた加藤雅樹だった。
甲子園初戦から清宮は活躍を見せる。今治西戦では、タイムリーを放ち甲子園初安打初打点を記録を含む6対0で勝利。2回戦の広島新庄戦では打ち合いになったが、清宮・加藤のアベックタイムリーで7対6で競り勝った。
勢いに乗る早稲田実業は、3回戦の東海大甲府戦でも清宮・加藤が大活躍する。同点の3回、清宮がライトスタンドへ甲子園初ホームランを放つと、続く加藤もライトスタンドにホームラン。2点差に追い上げられた6回にも清宮は走者一掃のタイムリーツーベースを放ち、試合を決めた。清宮はこの試合で3安打1ホーマー5打点の大活躍を見せて、知名度だけではなく実力も大衆に見せつけた。
準々決勝の九州国際大付戦でも、清宮の勢いは止まらなかった。2点リードの4回、この大会第2号となるホームランを放ち、ベスト4進出に貢献した。準決勝では仙台育英の佐藤と郡司のバッテリーの前にノーヒットに終わったものの、この大会での活躍は多くの野球ファンの心に刻まれた。
アメリカに大金星を挙げたU18日本代表
2013年の代表に引き続き、大阪桐蔭の西谷浩一氏が監督を務めたU18日本代表だが、この大会ではアメリカに大金星を挙げるなど、第一ラウンド、第二ラウンドを無敗で勝ち上がり、歴代最高の成績を残した。
この年の代表メンバーは、高橋純平、小笠原慎之介、佐藤世那、上野翔太郎、郡司裕也、堀内謙伍、平沢大河、篠原涼、オコエ瑠偉などと言った甲子園を沸かせた選手や、森下暢仁や勝俣翔貴と言った実力派の選手などだった。さらには、一年生ながら清宮幸太郎も選出された。
この年のU18代表は総合力が高かったが、とりわけ投手力に秀でていた。チーム防御率は、0.25を記録しており、2012年と2013年の1.88を大きく上回る数値だった。
内容を見ても、決勝に先発した佐藤の自責点のみでそれ以外の投手の防御率は0.00だった。
決勝では惜しくもアメリカに1対2で敗れて準優勝に終わったものの、大会参加国で最多となる5人の選手(佐藤、堀内、篠原、平沢、勝俣)がベストナインに輝いた。
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