akane
2018/08/30
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2018/08/30
2009年のSWAは3月9・10・11日、「下北沢演芸祭2009」の一環として、客席数80前後のシアター711で「SWAクリエイティブツアー」を行なった。テーマは「古典アフター」。
【演目】白鳥『かわうそ島の花嫁さん』/喬太郎『本当は怖い松竹梅』/彦いち『厩大火事』/昇太『本当に怖い愛宕山』
白鳥のネタは『大工調べ』現代版、喬太郎は『松竹梅』その後、彦いちは『厩火事』その後、昇太は『愛宕山』その後。
この年はそれ以降、12月に「大名古屋らくご祭」にSWAとして参加した以外、活動はなかった。
2010年には再び活動が以前のペースに戻る。まずは2月15日、下北沢・本多劇場での「下北沢らくご二夜」の第一夜として「3人SWA」。彦いち不参加の公演だ。
【演目】白鳥『ガンバレJAL』/喬太郎『同棲したい』/昇太『加藤支店長奮闘記』/昇太・白鳥・喬太郎『三題噺公開創作』
白鳥は『奥山病院奇譚』リニューアル、喬太郎は自作リメイク、昇太は彦いち作『保母さんの逆襲』リメイク。「腰パン・朝青竜・オリンピック」で公開創作した三題噺は白鳥→喬太郎→昇太→白鳥でリレー。なお「下北沢らくご祭」第二夜は「昇太の日」だった。
9月22〜26日には赤坂レッドシアターにて「SWAクリエイティブツアー」。総合テーマは「温故知新」。
【演目】昇太『温かい食卓』/喬太郎『故郷のフィルム』/彦いち『知ったか重さん』/白鳥『新婚妄想曲』
この5夜連続公演は「春風亭昇太28周年落語会」と謳われており、これに先立ち17〜21日にも昇太の独演会がやはり「28周年落語会」として同会場で開催された。
そして10月19日には本多劇場で「SWAクリエイティブツアー 古典アフター」。2009年にシアター711でやった「古典アフター」の再演だ。
【演目】白鳥『かわうそ島の花嫁さん』/喬太郎『本当は怖い松竹梅』/彦いち『厩大火事』/昇太『本当に怖い愛宕山』
前半2席、後半2席の前にはそれぞれ昇太が聞き役、喬太郎が評論家役で「落語研究会」風の演目解説が行なわれた。
その他、10月30日には「博多・天神落語まつり」にSWAとして出演している。
2011年に入ると2月10〜13日の4日間、本多劇場で「SWAクリエイティブツアー」が行なわれた。「下北沢演芸祭2011」の一環としての公演だ。
【演目】喬太郎『東海道のらくだ』/昇太『鬼の背』/白鳥『灼熱雪国商店街』/彦いち『二月下旬』
テーマは互いのネタのシャッフルで、白鳥の『灼熱雪国商店街』は喬太郎が三題噺で作ったネタ、『二月下旬』は喬太郎の『八月下旬』からの改作。『鬼の背』とは『鬼背参り』のこと。この公演の千秋楽に舞台上から「今年いっぱいで活動休止」ということが告げられ、ファンは衝撃を受けた。(SWAブログには2月23日にアップ)
7月25・26日には新宿の紀伊國屋サザンシアターで「SWAクリエイティブツアー 楽語・すばる寄席シャッフル」が行なわれた。夢枕獏の書籍『楽語・すばる寄席』に収録された各メンバーの持ちネタをシャッフルするのがテーマ。
【演目】喬太郎『任侠流山動物園』(白鳥作)/彦いち『自殺自演』(昇太作)/白鳥『全身日曜日』(彦いち作)/昇太『火打石』(喬太郎作)
喬太郎はこれ以降『任侠流山動物園』を持ちネタとして演じるようになる。
そして11月28日〜12月4日、本多劇場で「SWAFINAL 」と銘打ってのサヨナラ興行が開催された。まずは11月28・29・30日の「SWAファイナル書き下ろし」。
【演目】喬太郎『再会のとき』/彦いち『泣いたちび玉』/昇太『心を込めて』/白鳥『鉄砲のお熊』
そして12月1・2・4日は「SWAブレンドストーリー」。総合タイトルは「クリスマスの夜に〜三姉妹それぞれのクリスマス〜」。SWAが生んだ第4の(そして最後の)ブレンドストーリーだ。
【演目】彦いち『青畳の女』/喬太郎『想い出芝居』/白鳥『砂漠のバー止まり木』/昇太『パパは黒人』
12月3日には昇太抜きでの「3人SWA」公演が行なわれたが、後半の三題噺から昇太が飛び入り出演している。
【演目】白鳥『シンデレラ伝説』/喬太郎『彫師マリリン』/彦いち『長島の満月』/昇太・彦いち・白鳥・喬太郎『三題噺リレー(立川流・火消し・美顔ミスト)』
そして最終公演は12月5日、有楽町のよみうりホール「SWAファースト・ラスト」が行なわれ、4人それぞれが思い入れのある演目を披露して、SWAの歴史に幕を下ろした。
【演目】白鳥『真夜中の解散式』/喬太郎『ハンバーグができるまで』/彦いち『掛け声指南』/昇太『空に願いを』
SWAは、8年間の活動期間における実際の公演数自体は多くなかったが、若い観客層に「落語で遊ぶ」楽しさを教えてくれた、という意味で絶大な影響があった。あの時期の「落語ブーム」の熱気の中心には、間違いなくSWAがあった。オモチャ箱のようなSWA公演の楽しさは、落語につきまとっていた「古典を鑑賞する」というイメージを払拭し、エキサイティングなエンターテインメントとしての落語を提示した。
メンバーたちによるネタ作りには「文化祭前夜に高校に泊まり込んだようなドキドキ感」があった、とは白鳥がSWAのCDのライナーノーツに書いたことだが、そうした熱気を観客も共有できたのがSWAという稀有なパッケージだった。
SWAの持っていた熱量を最も適切に表現する言葉として僕が思い浮かべるのは「青春」だ。
そう、SWAとは瑞々しい「青春の落語」だったのである。
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