akane
2018/11/16
akane
2018/11/16
Genre: Punk Rock
Ramones – Ramones (1976) Sire, US
(RS 33 / NME 127) 468 + 374 = 842
Tracks:
M1: Blitzkrieg Bop, M2: Beat on the Brat, M3: Judy Is a Punk, M4: I Wanna Be Your Boyfriend, M5: Chain Saw, M6: Now I Wanna Sniff Some Glue, M7: I Don’t Wanna Go Down to the Basement, M8: Loudmouth, M9: Havana Affair, M10:Listen to My Heart, M11: 53rd & 3rd, M12: Let’s Dance, M13: I Don’t Wanna Walk Around with You, M14: Today Your Love, Tomorrow the World
イギリス人は恩を忘れたのか。なんだこの順位は! 本作がなければ、ロンドン・パンクはかけらもない。彼ら76年のロンドン公演には、セックス・ピストルズやクラッシュの面々が楽屋にまで押しかけた。そしてみんなラモーンズの音楽を真似た……音楽スタイルとしての「パンク・ロック」の、どう少なめに見積もっても75%は、ただラモーンズの発明だ。ガレージ・ロックなどの影響のもと、彼らが突然に「実用化」してしまったスタイルの要諦がすべて、このデビュー作のなかにある。
パンク・ロックとはなにか、ラモーンズの演奏を10秒聴けばわかる。「ワン、ツー、スリー、フォッ!」と吠える素早いカウントから、かきむしられるギターと「速い」ビートであと数秒……ただ、歌が始まるまで「どの曲だかわからない」こともある。ライヴでは僕も混乱させられた。偉大すぎるワンパターンだからだ。演奏時に愛想がないからだ(本当は、テンポが速すぎて演奏するだけで必死だから)。
ガッと脚を広く開いて地を踏みしめて、低い位置に楽器を構え、マシンガンのように弾くのが、ギターのジョニーとベースのディー・ディーだ。手足以外は微動だにせず叩きつづけるドラムスのトミーもいる。そして、2メートル近い長身にサングラス姿で、ロネッツのロニー・スペクターばりの「甘い歌声」を披露するのが、ジョーイだ。この全員が「ラモーン」姓を名乗った。だから彼らは「ラモーン一家」の義兄弟だ。ユニフォームは革ジャンにTシャツ、破れたジーンズ、キャンバス・スニーカー、そして長髪……音楽性のみならず、このキャラクターも愛された。
とくに外見面でのコンセプトを考えたのが、コミックブック・ファンのジョニーだった。彼はディー・ディーとともに、プラモデル好きの小学生と同程度の意味での「ナチ・マニア」だった。その趣味が反映されたのが、「電撃バップ」との邦題が有名なM1。これは進軍するワルガキをナチス・ドイツの「電撃作戦」にたとえたナンバーだ。彼らの代表曲であり、パンク・ロックの誕生を世に告げた輝かしい1曲――なのだが、もちろんこの「趣味」が叩かれた。しかしジョーイとマーキーはもちろん、関係者の多くもユダヤ人だった。この矛盾もまた、ラモーンズだった。
本作は最も長い曲で2分35秒しかない。トータル30分未満で計14曲。邦題は「ラモーンズの激情」だった。ジョーイ、01年没、享年49。ジョニー、04年没、享年55。ディーディー、02年没、享年50。トミー、14年没、享年65。アバとベイ・シティ・ローラーズを愛した、ニューヨークはクイーンズ区のワルガキ・チームは、音楽性同様、猛速度で人生を駆け抜けていった。
次回は42位。乞うご期待!
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
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