akane
2019/05/06
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2019/05/06
突然のショックな出来事などによって心がひどく傷つき、「ひとり」をつらく感じる時期についても見ておきましょう。
日常を襲う突然の出来事は、「もう立ち直れない」「生きていけない」、というほどの絶望を私たちに感じさせると同時に、強い孤独感につながることも特徴の一つです。
そんなときの孤独をどう扱うか、ということも、大きな意味では「ひとり」をラクにするヒントにあたると考えます。
一例をあげるならば、「パートナーの不貞」です。
信じていた人の不貞、というのはとても衝撃的な裏切り行為です。人間の心身は、ひどい衝撃を受けると、いくつかの特徴的な反応をします。
衝撃というのは、予期していなかったときに、自分を傷つけるような形で起こってくるもの。
ですから、ショックを受け傷ついた心は、「もう二度と傷つきたくない」という態勢に入りますし、それが予測不能なときに起こるということは、いつ再発するかわからないわけですから、「常に警戒態勢でいなければ」ということになるのです。
人から衝撃を受けた場合、この警戒心はもちろん、他人に対しても働きます。
命や人間としての存在に関わるほどの強い衝撃を受ければ、それは医学的にも「トラウマ」と呼ばれますが、命に関わるほどではない衝撃であっても、基本的にはトラウマを受けたときと同じような反応が起こってきます。
他人に対しても警戒的になり、「もう誰も信じられない」というような気持ちが起こるのです。
しかしそれ以上に問題なのは、自分に対して向けられる警戒心です。
予期していなかったときに配偶者が浮気をした、ということは、自分側に何か落ち度があったからだ、ととらえてしまうのです。
そして、自分の足りないところばかりが目について、「自分はダメだ」「もう誰からも愛されない」「こんな自分では、生きていくのが不安だ」などと感じてしまうのです。
これが、「ひとりでいるとすべてが不安」という感じ方につながっています。
こんなときに感じる強い孤独感に対しては、「衝撃を受けたときに、人間に普通に起こること」として理解し、その対策を知っておくことがとても大切です。
つまり、この孤独感は衝撃によるものであって、日常の孤独感とは違う特別なものなのだ、ということを認識するところから始めるのです。
衝撃を受けると、それまで何気なく生きてきた(衝撃など想定していなかった)自分とのつながりが絶たれてしまい、自分に対して「足りないところ探し」のネガティブな目を向けるようになります。
すると、自分のすべてが足りないように思えてきて、「すべてが不安」「こんな自分は生きていけない」などと感じてしまうのです。
日常生活を取り戻すと、「もともとの自分」をだんだんと思い出していきます。
平凡な生活の中にこそ、自分を支える要素があるのです。
「配偶者の不貞」という場合には、日常生活全てが崩れて感じられるかもしれませんが、「自分」の日常はあるはず。ちゃんと食事をする、入浴する、睡眠をとる、普通にテレビなどを見る、仕事に行く、など、それまでやっていた日常生活を取り戻していきましょう。
また、できれば、支えてくれる人を見つけられると、衝撃からの回復はぐっと楽になります。支えてくれる人はもちろん「ずいぶんひどい話だね」と共感してくれる人であることが必要です。
くれぐれも「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」などと言う人は避けたほうがよいでしょう。身近にそういう共感的な人が見つからなかったら、共感的に話を聞いてくれるメンタルヘルスの専門家でもよいと思います。
※この記事は、『続「他人の目」が気になる人へ』(水島広子)をもとに作られました。
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