ryomiyagi
2020/08/07
ryomiyagi
2020/08/07
本庄駅北口から真っすぐ延びる道は、旧道に近いからか、焦げ茶色の渋みが出まくりな板張りの商家が多く軒を連ねている。
少し歩くと旧中山道にぶつかるのだが、ここにも同じような軒並みが続いている。この先でぶつかる広い道路が現国道17号。
ここに日本最古といわれるドライブインがあるので、寄らないわけにはいかない。
熱帯植物園かと見紛うばかりの大きなガラス戸の不二ドライブインは1964(昭和39)年創業で、これより以前に郊外型ドライブインはないから最古ではないかとされている。
店内は小上がりも広く取られ、一体何十人入れるんだという規模。ついたてがわりの本棚には、『代紋TAKE2』などの漫画がズラリと並ぶ。
頼んだのは天ぷら定食。
天ぷらだけでもエビやナスのほかただでさえ種類が豊富なのに、これにご飯や漬物、鴨南蛮うどんまで付いてくる。
どれもしっかりしながら非常に上品な味わいで、ドライブインのイメージからは離れた逸品ばかり。
食後はジンジャーエールで〆。ドリンクもセット料金に含まれるという太っ腹加減。800円でいいのか心配になる程の量とクオリティ。
厨房のご主人もフロアの女性も優しい接客で、家族経営ならではのアットホームな空気に店中が満たされているように思えた。
旧中山道に戻り、西へと歩みを進めてみよう。
旧街道に面して、薬局や陶器店など看板建築が1km以上続いている。
路地裏はどうなっているのかと覗くと、スナック街を発見した。稲荷横丁というらしく、木造平屋建ての酒場なんかがあったりして、昭和の時代までは相当賑わっていた痕跡が窺える。
この隣に銀座通りという道があり、この間に、丸窓や凝った木の手摺りが配された料亭のような木造建築がデーンと佇んでいる。
こりゃ遊廓っぽいなと思ったら、やはりそこは宿場町、大宮や熊谷などと同様、表向きは乙種料理店として営業していたようだ。
ほかにも、明治期に警察署として建てられたモダンな洋風建築が歴史民俗資料館として自由に見学できたり、銀行のレンガ倉庫をイベントスペースとして開放していたりと、歴史的建造物にここまでペタペタ触れるのは意外と珍しいかもしれない。
と、ここまでは高崎線の北側を巡ってきたが、線路を渡って南側に向かってみる。というのも、こっち側に外国人が集うエリアがあるはずからだ。
二本松通りという少々交通量の多い道路に出たところに、いくつものスナックが集結している建物があり、この向かい辺りに、ミニショップブラジルという南米輸入食品スーパーがあったと記憶している。
界隈のブラジリアンコミュニティ向けに、食材販売のほか、小さなイートインスペースも併設され、そこでは極力ブラジルの食材で作り上げたという特大ハンバーガーが提供されていた。
それを食べたいと思っていたのだが、なんと。2018年に閉店してしまったようである。時既に遅し……。
ほかにもブラジリアンコミュニティ向けの店はないか、キョロキョロしながら本庄駅近くまで戻ってきたが、残念ながら見つからず。
駅前にあったショッピングモール・アピタのフードコートで休憩をとろう。
「MKケバブ&ピッツア」にて、店員の中東系の女性にメニューを指差し、ジェスチャーを交えながらケバブセットを注文。
飲み物はとリストを見ると、トルキッシュ紅茶というのがあった。
そういえば駅前の通りに、トルコの旗が掛かっていた。本庄市は東京2020オリンピックではトルコのホストタウンとなっているようだ。それで、ショッピングモールにもトルコ料理の店が入っているのかな?
で、そのトルキッシュ紅茶だが、ひょうたん型の可愛らしいグラスの脇にスティックシュガーが付いてくる。
ザーッと入れて底に溜まったまま飲むというのを見た記憶がある。やってみると、紅茶が熱いせいか、底にはあまり溜まらず大方は溶けてしまったが、そんなに甘みが強くなく、スッキリと飲めた。
続いてケバブビーフロール。ローストビーフほどの薄切り牛肉は肉の焦げたところの香ばしさとか、牛らしい脂の甘みも十分美味しいが、甘辛なソースと一緒にこの薄焼きパンと食べることで、合わせ技での独特な旨みの世界が形成される。
結構デカめのカットのトマトが入っていたりと、葉物野菜と合わせてかなりのボリュームながら、あっという間に食べきってしまいそうだ。
勢い良くケバブにかじりついていたら、飲み物が足りなくなってしまった。トルコということは、ターキッシュコーヒーと呼ばれるトルココーヒーがあるはずだ。
店先のメニューをみると、「トルキッシュカフェ」の文字が!
「ターキッシュ珈琲」という歌詞が出てくる飯島真理の歌があり、子供の頃、それがなんだか分からなかった。大きくなって、トルココーヒーなる飲み物があり、細かく挽いたコーヒー豆に水を入れて温め、粉が沈殿した状態で飲むと知った。さらに砂糖もたくさん入れて甘くするらしい。
先のお姉さんに注文すると、レジ横にあるファミレスで見かけるようなドリンクバーの機械に向かい、ジョージアのボタンを押した。
こういう場所ではそれも仕方ないかと思った矢先、店のそのお姉さん、奥の厨房でコーヒーを入れた容器を温めているではないか。妙に時間をかけているぞ。
出てきたそれは表面が泡立って、写真で見たことのあるトルココーヒーにそっくり。
飲んでみると、甘さも相まってインスタントっぽい味がするにはするが、それだけではない、きめ細かな濃さを感じる。
飲み切る直前で底に砂のように溜まる珈琲の粉を発見。ここまで本格っぽいトルココーヒーが出てくればもう大満足。
再び脳内で飯島真理がリフレインし、本庄駅へと戻っていくのだった。
(アピタ本庄は、2020年5月中旬にドン・キホーテとユニーのダブルネーム店舗としてリニューアル。このケバブ店も営業再開している)
腹ごなしも出来たし、温泉でも入って帰るとしよう。
というのも、群馬との県境を流れる神流川(かんながわ)沿いには温浴施設が充実しているのだ。どこも離れた場所にあるが、本庄駅をターミナルにバスがアチコチに走っている。
というわけで朝日バスに乗り込む。高速や新幹線の高架を抜け、ディーゼル車で単線の八高(はちこう)線も越え、群馬の山々が近づいてくると、シャレた佇まいの「おふろcafe白寿の湯」が出現する。
古くからある質素な町の温泉施設を、大宮のおふろカフェを運営する会社が改装した。地のものを使った自然派の食事を出す食堂を作り、年配客にも響く施設になっている。
浴室は大宮同様、ほぼ手が加えられていないのだが、こちらはそれが功を奏している。
ショッパイ泉質で、緑茶色と黄土色の中間のかけ流しの湯が浴槽から大量にジャバジャバと溢れ出ており、それがまるで千枚田のように、凝固した温泉成分が床に層を成している。
底の浅い浴槽に寝転がりながら、山々を眺めつつ日差しを浴びつつ、濃厚温泉にどっぷり浸かる至福ったらない。
地方の温泉地ならではのディープさを堪能し、なおかつ現代のスパ銭(スーパー銭湯)のモダンな空間で土地に育まれた食事も楽しめるという、本来なら一緒にならない2つの良さがそれぞれに楽しめるというユニークなスポットだった。
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