女子から連れて行って欲しいと言われるラーメン店逆輸入!
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ryomiyagi

2020/09/10

大西益央氏

 

大西益央さんの『なぜ、2時間営業だけでうまくいくのか?』。
タイトルと、オレンジ色の表紙に惹かれて、書店で手にしてみた。

 

自己啓発本とか、これ以上自分を啓発してももうしょうがない、正直私にとってはまったく無縁なジャンルなので、本来ならそのまま素通りしてもよかったのだが、そういえばTwitterで名前を見聞きしたような……といううろ覚えと、私のラッキーカラー“オレンジ”の表紙に、ふと目が止まってしまった。パラパラめくっただけなのに、買わずにはいられなくなってしまった。自分も同じようなことを考えていたのだが、長い時間言葉にできなかったり、消化不良のまま経過したアイデアが、整然と見出しになっていたからだ。

 

ラーメン店とは一番縁遠いイメージの「働き方改革」を、アメリカ・ボストンであっさりと実現してしまったという大阪人のお話。新しいビジネススタイルというよりも、著者独自の幸福論なのだと解釈した。半日で読めてしまうのだが、その後何度もページをめくって、付箋を貼ったりして読み返したりと、ある意味飲食店を開業させたい、独立したいという人にとっての強力なバイブルだ。

 

1日たったの2時間しか営業しない。オープンから1000日経ったら店を閉める。200日ごとに新作ラーメンに切り替える。誰の目も気にせず、本当に、好きに、勝手に、自由にやれている。そして、既にそのシステムは、共鳴した多くのスタッフにより順調に軌道に乗っているように見える。本当は、こんな店がやれたらなぁ〜という漠然とした憧れが一冊の本、一杯のラーメンに凝縮されている気がする。

 

そんな大西益央氏が、このコロナ禍の東京に新店舗をオープンさせるというので、1000日限定の開店初日に足を運んだ。メニューはコース一択。シャルドネの芸術とも評される Ruinart Blanc de Blanc の用意もある。他には、アメリカの定番人気ビールと、ラーメンをすする前から華々しさ満開。

 

 

シャンパンで喉を潤したあと、広島県の梶谷農園で栽培された無農薬ハーブのサラダが登場。前日まで可能な予約は、このサラダからスタートするコースのみとなっている。

 

 

次に、干し松茸のワンタンは、半分をそのまま頂いて、後の半分はラーメンに入れてワンタン麺にしてお楽しみ下さいと笑顔のスタッフさん。メインのラーメンはいつ登場するかとシャンパンを頂きながら待っていると、カウンターの先にある手動式の製麺機で、一杯分ずつ今から麺の切り出しを行うというのだ。カウンターからは、茹でている釜は見えないのだが、切り出してからほんの数分で、メインのラーメンが登場。

 

 

干し松茸の香りが漂うなんとも上品なラーメンだ。チャーシューは霧島高原ロイヤルポーク。さらに兵庫県のコウノトリ米のライスが小椀で出てくる。〆に残ったスープに入れるといいと説明を受ける前に、スープは完飲、ライスはそのまま頂くことに。リクエストすれば、コウノトリ米の卵かけご飯で締めることもできる。

 

 

毎日行ける店ではないかもしれないと思った。でも、2、3日経って、また無性に行きたくなってしまう、そういうお店だった。お祝いのスタンド花や胡蝶蘭で埋め尽くされた初日から5日後、もう一度予約してコースを頂きに来た。味、クォリティにブレもなければ、スタッフのオペレーションも大西益央氏の理念が隅々まで行き届いていた。大西益央氏は、この日を最後に再びボストンに旅立っていった。

 

男一人で、ガッツリ食べに行くスタイルのラーメン屋というイメージから、彼女から「ラーメン食べに行きたい」とリクエストされる店になる予感がする。

 

Tsurumen Tokyo
〒136-0071 東京都江東区亀戸3-45-18

営業時間
平日18:00~20:00、日曜日12:00~14:00
定休日 火曜日

蔓餃苑 パラダイス山元
クリエイティブで常に最先端の超進化系餃子を創り続ける、招待制高級紳士餃子レストラン荻窪餃子蔓餃苑のオーナーシェフ。著書に『餃子の創り方』(光文社)、『読む餃子』(新潮文庫)など。

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