日本中へ情報を拡散する新世代。これからのメディアが無視できない「Z世代」とは
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ryomiyagi

2021/02/03

 

「Z世代」という言葉を耳にしたことがある人はどのくらいいるだろう。「ジェネレーションZ(ゼット)」や「ジェネZ(ジィー)」と呼ばれることもある、この新しい若者世代を指す単語は昨今、とくにビジネス系のメディアを中心に注目を集めているらしい。タイトルにもなっている「Z世代」とは、年齢でいえば現在だいたい25歳くらいの若手社会人より下の人たちのことを指している。

 

なぜ「Z」なのかというと、アメリカでは彼らより上の世代を「ジェネレーションX」(主に1960年代から80年代に生まれた世代)と呼び、ミレニアル世代である「ジェネレーションY」の下にあたる世代だから「ジェネレーションZ」という訳らしい。Z世代は、「ゆとり世代」の名称のもとになった「ゆとり教育」のすぐ下ということもあり、「脱ゆとり世代」でもある。

 

「Z世代が社会の中心となる近未来には、彼らの感性や感覚が、世界及び日本を支配することになる」と考える著者は、彼らを理解することは、近未来の日本と世界を知ることと同じであるという。企業やメディアの注目がZ世代に集まる理由は、彼らがデジタル生活時代の情報潮流の最も川上にいるからだ。感度の高いZ世代はおもにSNSを中心に、インフルエンサーとして、情報の拡散役を担っている。これからの時代の消費の主役となるZ世代を理解することが、本書の主題だ。

 

著者はこれからの時代でZ世代が重要である理由を次のように述べている。

 

「いつの時代もトレンドの最先端には感性の鋭い若者がおり、中高年はその後塵を拝する、ということが多かったと思いますが、新型コロナによって日本人全体のデジタル生活が進展したため、若者と中高年層の間でデジタル能力やSNSの利用率に差がある分、この傾向は以前よりも顕著になってきています。その結果、人口が少ないにもかかわらず、Z世代の社会的プレゼンスが急速に上がっているのです」

 

たとえば大人気となった韓国ドラマ『愛の不時着』は、テレビ番組やバラエティ番組で取り上げられる以前から、Z世代の間ではすでに話題になっており、彼らを起点に全世代へ広がっていったものの一つだ。ここ数年のタピオカブームや、TikTokで話題になり主要音楽チャートにランクインするようになった楽曲『香水』も、火付け役はZ世代だった。Z世代のSNS上の「バズり力(拡散力)」は、若者たちだけではなく商品情報をあらゆる世代へ伝播するのにも役立つのである。

馬場紀衣(ばばいおり)

馬場紀衣(ばばいおり)

文筆家。ライター。東京都出身。4歳からバレエを習い始め、12歳で単身留学。国内外の大学で哲学、心理学、宗教学といった学問を横断し、帰国。現在は、本やアートを題材にしたコラムやレビューを執筆している。舞踊、演劇、すべての身体表現を愛するライターでもある。
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