『島耕作』の作者・弘兼憲史が「創作の源」映画を語り尽くす
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漫画家・弘兼憲史氏は、3年間、松下電器産業で勤務した経験から、漫画『島耕作』シリーズを作り上げた。デビューから40年以上経っても、365日ほぼ無休で働き、年間1400ページを描く。

 

その仕事論をまとめた近刊『島耕作も、楽じゃない。~仕事・人生・経営論~』(光文社新書)から、創作の源だという映画論を紹介しよう。

 


 

私が絵を描くきっかけとなったのは、父親が作ってくれた。

 

幼稚園に上がる前ぐらいの頃、父親が西部劇などの映画によく連れて行ってくれた。今から考えれば、父親は私のことを言い訳に使って、自分の好きな所に行っていたのだろう。

 

父親の好きな映画は洋画だった。

 

子どもには英語の音声は聞き取れず、字幕も読めない。私はひたすら流れる映像を見ていただけだった。それでも面白かったのだろう。家に帰ると、映画を思い出して、チラシの裏に描いたそうだ。それを見た家族が「上手い、上手い」と言い出した。

 

ジョン・ウェインの『硫黄島の砂』を見に行ったときのことは今も覚えている。

 

『硫黄島の砂』は、太平洋戦争末期の硫黄島の戦いを題材とした戦争映画である。父親とその映画を一緒に見た私は、戦争のシーンを描いたらしい。

 

母親は私に才能があると思ったのだろう、幼稚園に入った頃から、個人レッスンで絵の基本、クロッキーなどを習わせるようになった。その後、小学校三年生ぐらいまでに、水彩、油絵、彫塑など一通り習った。

 

私の創作に影響を与えた映画を五本選ぶとすれば──。

 

1位は決まっている。スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』である。キューブリック監督の作品は5位以内にもう一本入る。

 

『時計じかけのオレンジ』だ。これは5位にランクさせておこう。

 

残り3本は――。

 

フランスのクロード・ルルーシュ監督の『男と女』。ダバダバダ、ダバタバダという印象的なテーマ曲がながれるあの映画だ。

 

アメリカンニューシネマの名作『明日に向って撃て!』。そして、ロバート・デ・ニーロ主演の『ディア・ハンター』。これで5本だ。

 

もう一本だけ加えていいのならば、オードリー・ヘプバーンの『ローマの休日』。

 

これらは私の血肉となった映画たちである。

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島耕作も、楽じゃない。

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弘兼憲史(ひろかねけんし)

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