女子学生にとって現代はパパ活しなければ大学に行けない社会?#パパ活の社会学4
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女性が年上の男性とデートをして、見返りに金銭的な援助を受ける――そんな「パパ活」が若い世代を中心に広がりを見せています。実際の男女にインタビューを敢行し、パパ活を社会学の知見から分析した光文社新書『パパ活の社会学』(坂爪真吾著)が刊行になりました。刊行を記念して、『パパ活の社会学』の一部を全4回に分けて公開します。彼女ら彼らをパパ活に駆り立てるものとはいったい何なのでしょうか?

 

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現代は、両親に経済的余裕のない地方出身の女子学生にとって「パパ活しなければ大学に行けない社会」になりつつある。

 

地方出身の女子が首都圏の大学に進学する際には、学費をはじめ、家賃や生活費、セキュリティなど、様々な費用がかかる。私立大学や専門学校であればなおさらだ。

 

一方で、高校を卒業したばかりの10代の女性が就ける仕事は、その多くが最低賃金プラスアルファ程度の時給しか得られない。授業の合間を縫って、時給1000円で1日4時間、月に20日働いたとしても、8万円程度の収入にしかならない。

 

親の援助を受けられない場合、月額8万円で毎月の家賃・食費・光熱費、そして毎年の学費を全て賄うことは難しいだろう。奨学金に頼るしかないが、それでも生活は安定しないし、将来返さなければならない借金はかさむ一方だ。

 

一方で、キャンパスや繁華街では、消費の誘惑と圧力が満ちている。自己投資や買い物、友人との付き合いや旅行のためにお金を使いたいが、今の生活では余裕がない。

 

そして、スマホで検索すれば、「パパ活で稼ぎました」「現役女子大生が教える、月×万円以上稼げるパパ活の始め方」といった記事が山のように出てくる。

 

そうした環境下で、結果的にパパ活やそれに類する仕事が「合理的かつ唯一の選択肢」として浮上することは、ごく自然なことだろう。

 

地方出身の若い女性が首都圏で普通に生活すること=一人暮らしをしながら学校に通うための手段がパパ活しかない、という私たちの生きる場所は、果たして先進国と言えるのだろうか。

 

収入の不安定さを補う手段としての「パパ活」

 

一方で、玲香さんの事例を見ればお分かりの通り、パパ活で得られる収入は、高単価ではあるものの、常に不安定である。

 

玲香さん自身も、交際クラブでは未だに一人のパパも見つけることができていない。都内の有名私立大学に通う19歳の女子大生が「初回からホテルOKです」と銘打って顔写真と動画付きでPRしても、男性とのセッティングが決まらないという事実は、多くの読者にとって信じられないことかもしれないが、そういったケースはざらにある。

 

「若ければ誰でもオファーが来る」というほど甘い世界ではない。玲香さん自身も語っているように、パパ活を成功させるには、就活や婚活と同じように、それなりの準備と投資が必要になるのだ。

 

玲香さんは運よく夜の仕事で出会った男性にパパになってもらうことができたが、そうでなければ今の貯金額を達成することは難しかっただろう。

 

学歴も資格も経験もない10~20代の女性にとって、安定した正規雇用の職に就くことは極めて難しい。派遣やアルバイトといった不安定な仕事しか得られない彼女たちは、唯一の武器である「若さ」を即日現金化できる高単価の仕事を掛け持ちすることで、少しでも安定に近づこうとする。

 

10代の女性が自らの若さを活かして就くことのできる仕事には、「アイドル」「モデル」「タレント」がある。いずれも不安定な仕事の代名詞のような存在だが、これらの世界には、収入の不安定さを補うためにパパ活を並行して行っている女性が少なくない。その一例として、タレントの仕事をしながらパパ活をしている19歳の女性を取り上げる。

 

(以降は光文社新書『パパ活の社会学』坂爪真吾著に収録)

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パパ活の社会学

パパ活の社会学援助交際、愛人契約と何が違う?

坂爪真吾(さかつめしんご)

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