2019/12/23
RUKA Rǭkà Creative Director/Designer/Therapist /Instructor
『時間は存在しない』NHK出版
カルロ・ロッヴェリ/著 冨永星/訳
not exist
あれはいつのことだったか
「ハンバーグ食べたい」
喉を裂かれ管と繋がり白いベッドを起こしはっきりと視線を合わせ訴える
その音に耐えられなかった
仕事中、母から電話
病室ではなく川の見える安置所へ
いつも逃げてばかりなのです
耐えられない
宗教心のある人は、神へ懺悔をするらしい
そんなことしても あの顔はこびりついてる
我儘を言われると冷たくあしらう
耐えられない
セラピストは人を癒すらしい
そんなことしていても
また
「いま(現在)を生きろ」
「好きなことをしろ」と時代のスローガンのように経済ヒーローが皆を鼓舞する。
“いま(現在)”という時間は本当に存在する?
ここ数年、時間は川だと私は考えています。上流(未来)から下流(過去)へ流れがあり矢印があるようにみえる。いま(現在)を触れる水がつたう。
時間の矢は存在し、過去と未来は形が異なる。
世界は出来事から成り立っていて、“熱”を生む。熱が時間を作り出す。
しかしながら、本当に“現在”は存在する?
つい最近も記憶が7秒しかもたない方のドラマがテレビでやっていた。
「現実は記憶のみによって形成される」と。
そんな状態であるなら彼にとって“現在”とは?
理論物理学者の書籍、
『 時間は存在しない Carlo Rovelli 』
明け方、湯に浸かりながら読み始め、今朝、また事象は起こったのです。
記憶は痕跡の集まりで、この世界の無秩序のΔS≧0という小さな方程式の間接的な産物なのだ。
わたしたちは物語なのだ。
この世界の事物の混じり合いによって残された痕跡が描いた線。ΔS≧0エントロピーが増大する方向である未来に向けて出来事を予測するよう方向づけられた、この膨大で混沌とした宇宙のなかの少しばかり特殊な片隅に存在する線なのだ。
プルーストは主人公の耳との間に納まっている脳のしわの間に、限りない空間とあり得ないほどの詳細、香り、思考、感覚、修正、色、物、名前、容貌、感情といったものすべてを見出した。これこそがわたしたちの経験する時間の流れであって、その流れは内側。わたしたちの内側にしまわれている。
巻末はより感動します。
物理学は数学より、ドライでリアリストで生産的で……とても嫌い。
でも、極めるとそこにあるロマンティックな世界が情緒と混ざり合う。
だから、とても好きです。
耐えられないこの瞬き
このBOOKにより癒され視界は熱を帯びる
溢れ肌をつたうは明日のあの人へ
痛みを感じているなら
失う恐怖を感じているなら
きっと、時間はそこに存在する。
『時間は存在しない』NHK出版
カルロ・ロッヴェリ/著 冨永星/訳