akane
2019/10/31
akane
2019/10/31
高橋 ちなみに、お二人は今、現役バリバリのレスラーで好きなのって、誰なんですか。
寺島 僕は鈴木みのる選手ですね。ずっと、パンクラスの方なんですけど、今、鈴木軍っていうところで長として頑張られているんですけど。猪木とも戦っていますからね、鈴木みのるは。
市川 ねえ。そう考えたらすごいですよね。
寺島 本当にすごい。ベテランレスラーなんですけど、UWFっていう流れで一時期、やっぱり総合のほうに移っていたんですよ。ただ、そこでちょっとケガとかもあって、限界を迎えつつあったところで、プロレスに回帰するんですよ。そこから、プロレスを極める方向に移ってからの鈴木みのるは、本当に格好がよくて。大学のとき、僕、鈴木みのるの髪型に一時期してた。
市川 ちなみにバンダナは巻いていないんですか。
寺島 バンダナは巻いてないですね。
市川 あれは、そっか、バンダナを巻いちゃいけないんですね。
寺島 風になるほうですね。
市川 そうですよね。バンダナは絶対に巻いちゃいけません。鈴木みのるファンは。
寺島 すごいオールドスタイルのプロレスをするので、やっぱり好きですね。市川さんはどうですか?
市川 僕はでも、中邑真輔選手ですかね、やっぱり。プロレスラーが、要は総合格闘技に駆り出される時代があって、新日本プロレスからはどうなんだと。これもちょっと細かくなりますけど、UWFって、新日本プロレスから派生した格闘技プロレスの団体選手たちとかいっぱい出てくるんですけど、本家の新日本プロレスからはなかなか出なかったと。そこで、中邑真輔選手が若手なんですけど、元々、総合格闘技をやっていらっしゃって。すごいと思ったのが、和術慧舟會でもう、岡見選手とかと総合格闘技の練習を、プロレスデビュー前にしていたんですよ。
―見据えていたんですか。
市川 そう、見据えていたんですよ。要は、こういう『ファイヤープロレスリングスペシャル』とかやっていて、自分は総合格闘技で、プロレス最強を証明するんだと、見据えていたと思うんですけど。そこで和術慧舟會は、その総合格闘技の練習をしているにもかかわらず、総合格闘技の試合はプロレスデビュー前は行っていないんですよ。
―あくまでもプロレスから入っていく。
市川 そう。なんでかって言うと、そこでやっちゃって、そのあとデビューしちゃったら、総合格闘家がプロレスラーになっちゃう。
―あくまでも最初はプロレスでっていう。
市川 そう。プロレス代表として出るためには、その試合を我慢して、プロレスラーになってから総合格闘技をやらなきゃいけないっていう。だから本当に、自分の世代から言うと、リアルエディットレスラーというか。
―いいことを。「リアルエディットレスラー」ね。
市川 そう、そう。こういう人が出てきてほしいっていう人が、本当に出てきて。僕は、だから総合、ジャイアント・ノルキア戦ね。
寺島 ヤン・“ザ・ジャイアント”・ノルキア。
市川 そう、そう。アルティメットクラッシュで観に行って。もうそこで、あおりVでね。あおりVって言うのもあれですけど、すごい心つかまれて、そこからずっとファンで。ちょっとね、だんだん迷走しちゃったんですけど、それこそRISEとかやっていたときね、エルニーニョとかやっていたときとか迷走してきたんだけど、だんだんまた。
※あおりV……おもに格闘技などの試合前に流される、各選手のこれまでの人生や、今回の勝負に対する気持ちなどをまとめたVTR。
市川 プロレスラーって、僕、絶対にどっかでスランプがないといけないと思っているんです。
―順風満帆じゃダメなんですか?
市川 そう。どこかでファンに叩かれる時期が絶対に。だから、内藤選手とか、まさにそうだと思うんですけど、ファンに叩かれて這い上がると、そのファンはそのサクセスを追っていっているんで、さらに乗れるんですよね。
―けっこう、アイドルじゃないですけど、そういう芸能のタレント性みたいなところに近いところはかなり。
市川 それはでも、そうかもしれない。
―その生きざまだったりに、気持ちを乗せている感じが。
市川 背負っているものまで見るっていう。「ボマイェ」とか「イヤァオ」でブレイクして。CHAOSっていうヒール軍団に入ってはじけて、今、WWEで大活躍されているんですけれど。やっぱりそういう、ものすごい豪奢というか、味わい深い、その。
※「ボマイェ」……中邑選手の得意技。アントニオ猪木の入場曲「イノキ・ボンバイエ」を語源とする。
※「イヤァオ」……中邑選手の独特の叫び。今年7月に日清食品の「どん兵衛」が公開した「イヤァオ漢字ドリル」も話題に。
寺島 やっぱりストーリーがありますよね、どのレスラーにも。トップレスラーには。
市川 そう。だからやっぱりWWEで入場していくときも、どこかでファンからブーイング食らっている姿とか、猪木さんに鉄拳制裁を浴びている姿が、どこか自分の中でフィードバックしていって。
寺島 どのレスラーもね、棚橋選手だってね、さっきのエクステの話もありましたし。批判はやっぱり多かったですし。それこそね、鈴木みのるだってそうですからね。パンクラス時代はやっぱり批判されましたしね。
―アンチがいることで。
市川 でもね、プロレスファンって面白くて。何か、アンチのふりをしている気がするんですよね。
―あえて燃やしているんですか。
市川 そう、そう。叩いて、叩いて。ツンデレじゃないですけど、這い上がってこいよみたいな。
―ライオンが谷底に落とすかのような。
市川 そう、そう。そこから振り切るレスラーが見たいみたいなところがあるから。だから、内藤選手のことをすごいワーワー言っていた人が、今、たぶん内藤選手のファンの核になっているかもしれないし、それこそ、『Number』総選挙でも。今年は棚橋選手でしたけど、二年連続で内藤選手が取っていましたけど、その前はものすごいブーイングを浴びていましたからね。
寺島 もう本当に、しょっぱいっていう。しょっぱいの権化みたいな。すごい才能を、やっぱり内藤選手ってあってね。わかるんですけど、やっぱり面白くないみたいな。
―でも、それで叩かれたり、批判されて、吹っ切れたんですか。
市川 元々、新日本プロレスの王道エース路線である、武藤(敬司)選手とか棚橋(弘至)選手をトレースするようなプロレススタイルだったんですけど、オカダ選手と調印式でね、生え抜きの僕を応援してくださいみたいな発言が、ちょっと違うのかな、あったりとかして。ファンからは、なんだよそれ、みたいな感じで叩かれていたんですけれど、ロス・インゴベルナブレスっていうヒール軍団を作ってから吹っ切れて。
寺島 やっぱり、キャラクターというか。でも、自分の進むべき道をはっきり見つけたので、内藤選手は。そこで一気に人気が出ましたしね。
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