プロレスマニア書店員が『Number』編集者と場外乱闘!(後編) 空前のブームを理解するために知りたい、プロレスファンの生態系
市川淳一『ぼんくら書店員のぼんくRADIO』

■プロレスラーは髪型を変えないほうがいい?

 

―やっぱり、それはファンとしてはずっと見ていると、こいつ変わったわって、わかる。

 

市川 もちろん、もちろん。だから、プロレスラーって髪型を、あまり頻繁に変えないほうがいいと思うんですよね。

 

―ああ。「心機一転」感が。

 

市川 そう、そう。あと、入場曲とかもコロコロ変える選手いるじゃないですか。僕は絶対に、ずっと同じ髪型とかね、ずっと同じ入場曲で、ヒールになるときだけね。

 

―大事なときに変えるとか。

 

市川 そう、そう。そこで、中邑真輔がCHAOSっていうヒール軍団のユニットになってから、刈上げの。

 

寺島 髪型にね。

 

市川 スタイルになったりとかして。そんな感じでございます。

 

寺島 だいたい海外から帰ってくるとね、豹変して帰ってくるんですよ。

 

―確かにわかりやすいですよ、それ。

 

寺島 オカダカズチカ選手、元々は漢字の岡田に、カズチカはひらがなだったんですけど。

 

高橋 ひらがなだったんですか。何か、選挙ポスターみたいな。

 

寺島 本当に、候補かみたいな、「そろそろ選挙ですか?」みたいな感じだったのが、どこか、メキシコでしたっけ?

 

市川 メキシコ。

 

寺島 から帰ってきたら、もう何か、「レインメーカー」みたいな、金の雨を降らせるみたいなことを。最初は僕も、やっぱり見たときは、すごい違和感があって。この間まで選挙に出ていた(ような名前の)やつが、なんでいきなり金の雨とか言い始めているんだって。

 

市川 オカダ選手が、元々試合がうまいっていうのもありましたけど。昔のプロレスファンだったら、もっと乗らなかったはずなんですけど、意外と乗りましたよね、オカダ選手の凱旋帰国って。普通「いやいや、若手じゃんみたいな」(反応を示す)人が多かったと思うんですけど「いやいや、もう乗っかろうよ」みたいな。新日本プロレスを盛り上げようよみたいな。それこそ、今のプロ野球だったりとか、Jリーグだったりに通じると思うんですけど、自分たちで一緒に盛り上げていこうみたいな感じがプロレスにもあって。ああ、時代が変わったなって思いました。

 

―俺らで盛り上げないでどうするんだって。

 

市川 そう、そう。

 

寺島 あれ、すごかったですよね。金髪にして帰ってきて。

 

市川 だって、プロレスファンなんか、下手したらもう会場に火をつけたりする(笑)、昔はそんな人ばっかりだったんだから。

 

―認めねえと。

 

市川 そう、そう。暴動を起こす。

 

―取り巻く雰囲気もちょっと変わってきたんですね。

 

市川 変わってきたと思う。

 

寺島 なだれ込む人とかいないですもんね。

 

市川 今いないですよ。

 

寺島 フーリガンみたいな人も消え去ってね。今どこにいるんですかね、フーリガンみたいな人。何で発散しているんだろうって、ちょっと思いますけどね。

 

市川 それくらい、何か雰囲気が変わってきたなと。というわけで……

 

―深いです。たぶん、話は尽きなさそうですが。

 

■一発の張り手にどれくらい意味を持たせられるか

 

市川 はい。今回はプロレスについてお送りいたしました。

 

寺島 あ、終わるんだ?(笑)

 

市川 終わるんだって。だって、相当時間かかってますよ。

 

―相当。過去最長(笑)

 

市川 普通、だいたい30分で終わらすんです。

 

寺島 そうなんですか。

 

市川 そうですよ。

 

寺島 そうなんですか。知らなかった。申し訳ない。

 

市川 そう、そう。どこで終わらせようかなと思ったら。

 

寺島 そうなんですか。

 

市川 そう、そう。そんなわけで本日は寺島さんをお招きして。

 

寺島 鈴木みのるの技の少なさとか。

 

市川 技が少ないレスラーって、僕、大好きです。

 

寺島 そうなんです。それね、さっき言い忘れちゃって。

 

―それがオールドスタイルっていうこと?

 

市川 じゃあ、もうちょっと延ばしましょう(笑)

 

寺島 いや、もう(笑)

 

―ストレートとカーブだけで抑えるみたいなことなんですか?

 

寺島 あ、似てますね。

 

市川 似てる、確かに。

 

寺島 ほんとに、その緩急で。

 

市川 違うんです。だから、技って別になくたっていいんですよ。そのサイコロジーが張り付いていればいいんですよ。

 

―ここでその決め技を使うかあ、とか。

 

市川 そう、そう。その人生が見えればいいんです。

 

―技を通して。

 

市川 そう。だから、パンチ一発でも全然いいんです。

 

寺島 一発の張り手にどれくらい意味を持たせられるか。

 

―ああ、なるほど。

 

市川 そう、そう。

 

寺島 マシンガンチョップ的な、小橋建太的な、量で説得力を持たせるタイプもいますけど、やっぱり一発にどれくらい意味を持たせられるか。

 

―打ち上げ花火みたいな。

 

寺島 鈴木みのるの張り手一発の説得力っていうのはね、本当に、一城の主っていうのはこうあるべきだっていう感じですよ。すみません、ちょっとこんな、クソどうでもいいような感じの終わり方で大丈夫ですか。

 

市川 どうでもよくない、どうでもよくない。というわけで、今回は寺島さんをお招きしまして、プロレスについてお話ししてきました。もう大丈夫ですか?

 

寺島 大丈夫です。ありがとうございました。

 

市川 ありがとうございました。

 

―ありがとうございました。

ボンクラ書店員のぼんくRADIO

ぼんくら書店員・市川

「『竜馬がゆく』と『燃えよ剣』の出版社の違いが分かる」を理由に、自信満々で某チェーンにアルバイトとして入社し10年が経過。光栄のゲームの武将パラメータを眺めながら、歴史小説を読むのが日課のボンクラ書店員。たまに本の帯やポップをデザインしたり、小説の巻末に漫画を描いたりしています。1981年神奈川生まれのAB型。
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