押忍! 拳で瓦を割る「達成感で」泣ける店「瓦割り カワラナ」
寺井広樹の東京いい店泣ける店withおとよ

意思表明書にサインをし、まずは練習を

 

「では、ここにサインを」と川口さん。出してきたのは、「瓦割り意思表明書」です。

 

読んでみると、「怪我をしても自分で責任を持ちます」といった項目もあります。

 

それを読んで、怯えるあーさ。だ、大丈夫でしょうか。そんなあーさを気にすることなく、さらさらとサインをするおとよ。

 

次に、チャレンジする瓦の枚数を決めます。すると、おとよが「10枚、いや、20枚で!」と言い出しました。

 

この店では、男性で瓦36枚、女性で瓦16枚が今で割った瓦の最高枚数だそうです。

 

そんなふうに話している私達の横で、あーさが「えっ……。そんなのできない」とつぶやきます。始まる前から、もうすでに泣いているじゃないですか!

 

 

すると、川口さんが「女性なら瓦5枚、男性なら瓦10枚が一般的ですよ」と教えてくれました。

 

瓦5枚と聞いて、少しほっとした表情を浮かべるあーさ。いや、5枚もすごいんですが、おとよが10枚、20枚と言い出したおかげで、5枚が少なく感じられたようです(笑)。ナイス、おとよ!!

 

では、瓦5枚でいきましょうか。

 

「さあ、やりましょう」とグローブをはめた右手を振り回す、おとよ。

 

すると、「いきなり瓦は割りません。まずは練習からです」とぴしゃりと制止する川口さん。その言葉に安心した顔を見せるあーさ。

 

さあ、川口さんの指導が始まります。

 

丁寧に解説してくださる川口さん

 

「足は台にしているブロックより後ろにくるようにしてください。ブロックや瓦が足に落ちて、怪我をするのを防ぐためです」

 

「膝をしっかりと床まで落として」

 

「拳は一番上の瓦の表面で止めない。一番下の瓦まで割るつもりでぐっと打ち込んで」

 

「上に置いたタオルに描かれた赤い丸を的にして、拳が収まるように打ちます!」

 

 

川口さんの熱血指導が続きます。川口さんの真似をする、あーさ。

 

 

道場の様子は外から丸見えです。浅草という場所柄、時折、人力車や観光客も通りかかります。なかには、写真撮影していく外国人の姿も。

 

「注目されていますね」と喜ぶおとよが、ピースサインで撮影モデルを始めてしまいました。

 

ほらほら、おとよ、集中して! ちゃんと練習しないと、怪我をしますよ。

 

東京いい店泣ける店

寺井広樹・とよしま亜紀

【寺井広樹】
泣いて心のデトックスを図る「涙活」を発案。『涙活公式ガイドブック』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)、『泣く技術』(PHP研究所)、絵本『ナミダロイド』(辰巳出版)など著書多数。
【とよしま亜紀】
雑誌・書籍編集兼ライター。現在、師匠である寺井氏の元で“涙のスペシャリスト”として修業中。著書に、あの世とこの世の情けに泣ける『宮城の怖い話』『新潟の怖い話』『静岡の怖い話』(TOブックス)。

イラスト:えんどうまめ
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