巨人軍の2010年代をプレイバック【2018年】スラッガー・岡本和真という新たなスターが誕生
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

新型コロナウイルスの影響で、開幕の見通しが立たないプロ野球でしたが、ついに6月19日に開幕が決定!
そこでプレイバック企画として、お股クラスタの一人、ゴジキ氏(@godziki_55)に2010年代の巨人軍を振り返ってもらいました。

 

 

2018年
シーズン成績:67勝71敗5分 勝率.486 3位
ポストシーズン成績:CS 1st 2勝0敗 、CS Final0勝4敗

 

2018年は勝率5割を切ったもののシーズンは3位。クライマックスシリーズも1stステージでヤクルトに2連勝したものの、ファイナルステージでは広島に3連敗して敗退した。

 

この年、投打の顔である菅野智之は2年連続沢村賞、坂本勇人はリーグトップクラスの成績を残した。さらに、即戦力ルーキーとして期待されていた大城卓三、田中俊太や、類い稀なる守備センスを持つ2年目の吉川尚輝の台頭が目立った。
ただ特筆すべきはスラッガーとして期待されていた4年目の岡本和真で、プロ野球史上最年少の3割30本100打点を記録した。

 

先発陣は、菅野が28登板 10完投 15勝 勝率.652 202回 200奪三振 防御率2.14のシーズン成績で、沢村賞の選考基準全項目をクリアし、文句なしの2年連続受賞となった。また、クライマックスシリーズではポストシーズン史上初となるノーヒットノーランを達成した。山口俊も先発ローテーションを守り、9勝9敗 防御率3.54の成績を残した。さらに、シーズン途中に支配下登録されたC.C.メルセデスは、13試合に登板し、5勝4敗 防御率2.05の成績を残した。

 

しかし、マイルズ・マイコラスのMLB移籍による穴が埋まらなかったことはもちろんのこと、2016年、2017年とローテーションの一角を担っていた田口麗斗が開幕から調子が上がらず、オールスター前の段階で被本塁打が10本を超えるなど不振が続き、2勝8敗 防御率4.80という成績に終わり、シーズン通して菅野と山口頼みとなった。

 

救援陣は、上原浩治が10年ぶりに巨人に復帰。3月31日の阪神戦では3464日ぶりのNPB公式戦登板を果たし、1回を三者凡退無失点に抑えて公式戦3535日ぶりのホールドを上げた。しかし、キャンプ終了時期の入団だったにも関わらず一軍に合流したことから球速・球威不足や調整不足に陥り、打ち込まれる場面が目立ち、2軍落ちも経験した。
救援陣を長年支えてきたスコット・マシソンは、シーズン途中に左膝の手術を受け、途中離脱という形に終わった。また、オープン戦から調子が良かった澤村拓一の起用法が固定されず、便利屋のように起用されて、夏場以降は成績を落とした。さらに、2017年のシーズンでクローザーを勤めたアルキメデス・カミネロも防御率5.79と調子が上がらいままだった。

 

宮國椋丞や田原誠次と言った中堅の調が子良かったにも関わらず、点差が開いた試合で澤村やマシソンと言った勝ちパターンの投手が登板していたことを踏まえると、全体的に投手陣の運用力やマネジメント力に欠けたシーズンだったのは間違いない。上原の起用法にしても、澤村やマシソンと言った本格派の間に配置させるなどと言った起用法なら、緩急がついて違う結果になっていた可能性もあるだろう。

 

野手陣では、岡本がオープン戦で結果を残し、阿部慎之助からレギュラーを勝ち取る形で開幕スタメンになった。得意の阪神戦含めて初のフルシーズンで、打率.309 33本 100打点 OPS.935の成績はもちろんのこと、ポジション別の成績でも一塁手の時は打率.291、三塁手の時は打率.480、左翼手の時は打率.295と言った打撃成績を残し、ユーティリティ選手としても開眼したシーズンであった。

 

吉川尚も開幕スタメンを勝ち取り、7月には月間打率.386を含む、打率.253 4本 29打点 OPS.665という成績を残した。守備面は当初菊池涼介の若手の頃のように「ドーナツ型」と言われていたが、一歩目のスタートが早く、これまでの巨人の二塁手として見ると屈指の守備範囲の広さであり、チームを救うシーンが目立ったシーズンであった。
その吉川尚が離脱した後半に出場機会が増えて活躍したのが、田中俊太だった。また、大城も36試合に先発出場しらスタメンでの打率は.271、代打としても打率.308という成績を残す活躍を見せた。

 

中堅・ベテラン勢では坂本が、1ヶ月以上の離脱があったものの、NPBの遊撃手で歴代初となる2度目のシーズン打率.340以上を記録するなどの活躍を見せた。ケーシー・マギーも打率.285 21本 85打点 OPS.803の好成績を残した。
また、近年打撃が下降気味だった長野久義も、得意の夏場に調子を上げていき、規定打席未到達ながら、打率.290 13本 52打点 OPS.793と、2015年以降では一番良い成績を残した。阿部は岡本に開幕スタメンの座を奪われたものの、代打やスタメン出場試合での活躍が光り、歴代3位となる18年連続での2桁本塁打(11本)を記録した。

 

一方、アレックス・ゲレーロの起用法の問題やセンターラインである坂本、吉川尚の離脱が痛手となったシーズンでもあった。

 

【主な先発陣】
菅野智之 15勝8敗 202回 防御率2.14
山口俊 9勝9敗 154回 防御率3.68
吉川光夫 6勝7敗 101回1/3 防御率4.26
メルセデス 5勝4敗 92回 防御率2.05
田口麗斗 2勝8敗 86回1/3 防御率4.80

 

【主な救援陣】
カミネロ 20試合 1勝1敗2H11S 防御率5.79
マシソン 34試合 3勝8敗14H8S 防御率2.97
上原浩治 36試合 0勝5敗14H 防御率3.63
澤村拓一 49試合 1勝6敗24H 防御率4.64
中川皓太 30試合 1勝0敗3H1S 防御率5.02
田原誠次 29試合 2勝0敗1H 防御率2.56
宮國椋丞 29試合 0勝0敗4H 防御率1.97
アダメス 28試合 0勝2敗3H4S 防御率3.94

 

【主な野手陣】
坂本勇人 打率.345 18本 67打点 OPS.962
岡本和真 打率.309 33本 100打点 OPS.935
マギー 打率.285 21本 84打点 OPS.803
亀井善行 打率.254 13本 49打点 OPS.708
長野久義 打率.290 13本 52打点 OPS.793
ゲレーロ 打率.244 15本 40打点 OPS.785
小林誠司 打率.219 2本 26打点 OPS.575
阿部慎之助 打率.247 11本 46打点 OPS.769
吉川尚輝 打率.253 4本 29打点 OPS.665
田中俊太 打率.241 2本 12打点 OPS.631
大城卓三 打率.265 4本 17打点 OPS.715

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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