BW_machida
2020/08/25
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2020/08/25
大会初日から星稜・奥川恭伸対履正社打線と夏への伏線
この年のセンバツは初日から「大会No.1投手」と呼び声の高い星稜・奥川恭伸対強打の履正社打線という、大会屈指の好カードが繰り広げられた。
履正社は、主砲の井上広大や小深田大地と言った選手が昨夏からのメンバーであり、非常に注目度の高い世代だった。対する奥川は2018年にU18日本代表に選ばれるなど、この世代ではトップクラスの評価を得ていた。
注目されたこの試合、奥川の奪三振ショーとなった。先制点を貰った奥川は、伸び伸びとしたピッチングを披露。履正社打線から奪三振の山を築き、最終的には17奪三振を記録する好投で勝利した。
この試合でさらに注目を浴びた奥川だったが、屈辱的な敗戦を喫した履正社にとってこれが夏の快進撃に向けた伏線になったことは、この時は誰にも予想できなかった。
公立ながら試合巧者で準優勝に輝いた習志野
この大会では、習志野と明石商と言った公立学校が準優勝、ベスト4進出と躍進を遂げた。
習志野は、2回戦で奥川を擁する星稜と対戦。奥川は、3回までは5奪三振、ノーヒットと完璧に抑えていたが、4回から習志野打線が捉え始めて追いつく。2回途中からマウンドに上がった飯塚脩人が好リリーフを見せて流れを引き寄せ、7回に角田勇斗の三塁線への打球を三塁手が後方へはじき、勝ち越しに成功した。さらに9回には兼子将太朗が左翼への本塁打でリードを広げて奥川を攻略。大金星を挙げた。
習志野は準々決勝の市立和歌山でも、初回に3点を奪われたものの、2回からリリーフに上がった飯塚が9奪三振無失点に抑える好投を見せて、この試合も流れを引き寄せる。その間に打線も5回〜7回に1点ずつ積み上げていき、逆転勝利した。
準決勝は、横浜の及川雅貴を攻略した明豊とのカードになり、初回に山内翔太が3点先制される試合展開となった。ただ、初回以降は無失点に抑え、6回まで投げ切ったことが非常に大きかった。
3回に2点を返し7回に追いつき、エース飯塚がマウンドに上がる。ここで一気に流れを引き寄せて、8回に4番櫻井亨佑がライトスタンドに入るホームランで勝ち越して、そのまま勝利した。
最後は決勝で東邦に敗れたものの、この大会の習志野は監督と選手がうまい具合に伴奏する形で相手の隙やミスにつけ込む試合巧者ぶりを見せつけた。星稜戦でのサイン盗み疑惑で騒ぎにもなったが、高校生らしくない勝負強さを備えていたのは間違いないだろう。
総合力で平成最後のセンバツ優勝・東邦
この大会の東邦はエースで3番に座っていた石川昂弥と4番の熊田任洋を中心としたチームで、前評判も非常に高かった。加えて、大会を通してピーキングも上手くいっていように見える。
大会を通して先制点を必ず奪いそのまま勝利する展開は、準優勝の習志野とは真逆の試合の進め方、勝ち方だった。
準決勝で対戦した明石商は、中森俊介や来田涼斗といった2年生の選手が注目されていた。投手戦となったが東邦が吉納翼のスリーランで先制し、石川が安藤碧にツーランを打たれるものの接戦を勝利した。
決勝では、チームの主軸であり世代トップクラスの選手である石川が2ホーマーを放つ活躍を見せた。結果的に1989年の第61回大会以来の優勝ということで、平成の高校野球は東邦から始まり、東邦で終わった形になった。
この世代の打者では、東邦の石川、履正社の井上が頭一つ抜けていた存在だった。U18日本代表でもこの2人を並べた上でのクリーンアップが理想的であり、個人的にも見たかった並びであった。
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