ryomiyagi
2022/01/14
ryomiyagi
2022/01/14
だいぶ遅くなってしまったので今さら言うのもなあと思いつつ、でもやっぱりこれは言っておかなきゃということで……あけましておめでとうございます! もう二週間も過ぎているので、やっぱりちょっと変な感じですが(笑) とはいえ年始からどれだけ時間が経っていたとしても、新年一発目の仕事現場って、どこであれなんであれ、この挨拶をしないと次の一歩が踏み出せないんですよね。言わないと妙にそわそわしちゃいます。
新年の挨拶以外にも、これをやらないと始まらないみたいなこととか、このルーティンをこなさないとなんか気持ちが悪いとかって、きっとあると思います。私も今はだいぶ減りましたが、やっぱりまだうっすらあるにはありますね。
たとえば、最近だとこうやって原稿を書く前に、必ずコーヒーを飲みます。そうは言っても、いわゆる仕事ができる人たちがやりそうな感じの、パッと淹れてパッと飲んでパッと仕事に取りかかるみたいな、テキパキとしたスイッチングのそれではありません。めちゃめちゃダラダラ、スマホで動物の動画とかを見ながら、ゆっくりゆっくり飲みます。今の季節だともう最後の一口なんてほぼアイスコーヒーです。たぶん誰かがその様子を見ていたら、「とっとと仕事やれよ!」と言いたくなると思います。
でも、どうやら私にはそれが合っているみたいです。「あー休んだ休んだ、コーヒーも美味しかった、さあいい加減やるか」くらいゆったりした気持ちで机に向かった方が、結果的にその後の原稿の進みが早いんです。気分がいいと、変に何か言ってやろうという精神状態にもならないし、思っている以上のことを格好つけて書くことがなくなるから、すごくいい。ちなみにコーヒーにこだわりはありません。出先だったら自販機の缶コーヒーのこともあるし、コンビニのカップコーヒーのこともある。なんならココアでもいいのかも。なんでもいいです、一旦ふう、と一呼吸置けるものならば。
自分を縛りつけるような習慣だと続かなかったり逆に負担になっちゃったりしますが、こういう自分をある種解放するための習慣というのは、一つ持っておくといいなあと思います。どうにもやる気が出ない、何もやりたくないという時にも、とりあえずこの一工程までは進めるから。そうすれば、あとは意外とどんな日でもいつも通りにやれるって気がついたから。
ということで、前回はみなさんにこんな質問をさせていただいたのでした。
今月の質問:「毎日必ずやる習慣って何かありますか?」
それこそ元プロ野球選手のイチローさんは、マリナーズ時代毎朝カレーを食べていたなんて聞きますよね。みなさんはどうでしょう。今回もたくさんの回答をいただきました、本当にありがとうございます。ヤクルトを飲む、トイレ掃除をする、それから登校前と帰宅後に猫を吸うという方もいらっしゃいました。いいなあ、私ももし家に猫がいたら絶対やると思います。そんな中から今回はこちらをピックアップ。
お名前:開放弦
回答:朝風呂です。早起きしてしっかり湯船に浸かると手足もあったまり、その勢いで仕事に出かけます。
少し前には雪も降ったりしましたし、まだまだ終わりそうにない今年の冬。朝なんて布団から出たら最後、さっきまであんなに温かかった指先も、一瞬で冷えちゃう今日この頃です。ちゃんと朝から湯船に浸かれたら、心身共にぽかぽかして調子がよくなりますよね。
私も開放弦さんみたいに毎日できたらいいんですけど、どうもできない日も多くて。でもたまにやります、朝風呂。これ、朝シャワーじゃなくて朝風呂なのがミソですよね。湯船に浸かってあったまるって本当にいい。なんか気持ちの温度も上がるというか、朝の憂鬱なマイナス気分がプラスに変わっていく感じがします。だから私もライブやテレビの収録など何かと緊張しそうな日は、最近必ず朝風呂をしています。力が抜けて、変な気分の上下もなくなって、その日をいいリズムで過ごせるんですよね。
そこで今回みなさんにおすすめしたい一冊が、読みながら心地よい一日のリズムを感じられるこちらの絵本。文・KAKATO/絵・オオクボリュウ『まいにちたのしい』です。
「まいにちたのしい」
KAKATO/文 オオクボリュウ/絵
2019年、ブロンズ新社刊
まるで動いているようなイラストと、韻を踏み遊び踊るように並ぶことばたち。文を担当しているKAKATOは、環ROYさんと鎮座DOPENESSさんによるラップグループです。いわばことば選び、ことば遊びの達人のお二人というわけです。ちょっと一緒に見てみましょう。
ようよう たいよう さんさん おはよう
おはよう さんさん たいよう ようようぬぎぬぎ おきがえ かえかえ ぬぎぬぎ
かえかえ ぬぎかえ おきがえ かえかえ
どうでしょう。自然とリズムをとりながら読んでしまいますよね。何気ない毎日のよくある一日の出来事が描かれたこの絵本ですが、そんな中でも私が好きなのは、お風呂に入るページのところ。
ゆらゆら ゆらりと ゆげゆれるおゆ
ゆらりと ゆらゆら ゆるゆげ ゆらゆー
なんかもうこれを読んでいるだけで、湯船に浸かっているような気分になってきませんか? 言葉とそのリズムだけで、お湯の表面のゆらぎとか、湯気の温度とか、ちょっとのぼせてぼんやりとする視界の感じとかが、文字を通してちゃんと伝わってくるんですよね。絵本をただ読んでいたはずが、気づけば口ずさんじゃって、なんならどこかからビートが聞こえてきちゃって、自然と体も動いちゃって、最終的には映像まで浮かんでくる。子どもはもちろん、大人の方でもゆるく気張らず楽しみながら読むことができる一冊です。
毎日の習慣って、ある意味自分にとってのいいリズムを作るためにやっていることでもありますよね。習慣が身についてその掴み方さえわかるようになれば、多少のアクシデントが起こったりしても、いつもの自分にちゃんと戻って来られる。そのために私たちは朝お風呂に入ったり、コーヒーを飲んだりするわけです。今年もこの絵本のように、肩肘張らずに楽しみながら、自分にとっての心地よいリズムを刻みながら過ごしていきたいですね。
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次の更新は2月。もうちょっとしたらスーパーや百貨店の店頭が赤やらハートやらの装飾で埋め尽くされますね。ということで今月の質問はこちら。
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