BW_machida
2020/09/18
BW_machida
2020/09/18
今回の小説『過怠』では、医学部に通う二人の女子学生を主人公にしているが、医学においても二つのジャンルがモチーフとなっていく。
生殖医療と法医学。
いずれも、人間の生き方に幾つもの問いかけを続けながら、研究は日進月歩のように見える。
過日は、湾岸道路を運転して行き、千葉大法医学教室へうかがった。
メディアでご紹介される機会の多い斉藤久子准教授に、お忙しい中、歴史ある研究棟のご案内をいただいた。
国立大学の堅牢な建物、石の手すりやステンドグラスなど、とても風格があった。
ただし残念なことに、老朽化に伴いじきに新しい棟に移るそうだ。
「全ての電気が停まってしまうので」
斉藤先生がそう表現されたのが印象に残ったように、今は最後の呼吸をするように、無数の最新機器が研究者たちによって操作されていた。
法医学教室には、女性が多い。廊下ですれ違うのは圧倒的に女性が多かった。
斉藤先生はじめ皆さんが、白衣や作業着に身を包みながら、なんとも柔らかい雰囲気で、法医学で解明される様々な真実と向き合われていた。そこにむしろ凄みを感じた。
法医学が解明する真実は、時には、人々の人生を覆っていた霞を払い、行く手を変えることもあるだろう。そうしたこと一つ一つが、物語だと思いつつ、私は今回は主人公が見つけ出したいたった一つをフォーカスしていく。
いただいた貴重なお時間を、次回以降の連載で、主人公が出会う法医学教室の描写に生かしていきたいと思っています。
皆さま、どうか引き続き読んでいただけたら幸いです。
次回につづく(毎週金曜日更新)
photos:秋
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