BW_machida
2022/07/12
自己追跡の倫理学
BW_machida
2022/07/12
スマホなどを通じた利己的な自己管理はどのように利他や社会へと接続可能か。リスクを検討しつつも「人文的な」批判に終始せず、慎重で開放的なスタンスから改革を提言する。
本書は、さまざまな事柄を測量するセンシングという技術と、それによって新たな洞察と解決策を生み出そうとするトラッキングという実践を論じたものである。こうしたテーマを扱う場合、大抵は、ヘルスケアを始めとした自分自身の状態や行動をトラッキングする個人的な実践、いわゆる「セルフトラッキング」に焦点が当てられる。そこでは、セルフトラッキングは自分の健康管理や作業の効率化を図る、ライフハックの一環という位置づけだ。つまり、巧く生きることを目的とする、良くて個人主義的、悪くすれば利己的な実践と見なされている。確かに、カロリー、心拍数、血圧、睡眠などの健康面での管理や、タスク、作業時間、集中力、やる気といった業務面での管理を可能にするアプリの大半は、個人を対象にしたものである。
しかし本書では、セルフトラッキングを単に個人主義的ないし利己的な実践として捉えるのではなく、他者にも、そして社会にも裨益するという意味で、関係主義的で利他的な実践として別様に理解してみようと提案する。巧く生きるだけではなく、善く生きるための方法の一つとして捉え直そうというのである。(「まえがき」より)
博士(社会学)。専門は、政治社会学・応用倫理学。東京都立大学客員研究員、Screenless Media Lab.所長、ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) ※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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