認知症の危険度を下げる「あったかハウスの作り方」|室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる(2)
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BW_machida

2020/10/26

あなたの不調は、「家」のせいかもしれない!頻尿、不眠、高血圧…様々な心身の不調の原因を、医療だけでなく、住宅の専門家の視点から解き明かした『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)。最新のエビデンスをもとに示された、健康に生きるための住居環境とはいかなるものか……?!

 

 

断熱はロコモや認知症の危険度を下げる

下記の表は国土交通省が発表した、断熱改修をした家に住む男女の室内での活動時間増加率を示した表です。脱衣所や居間の室温が改修により上昇したことで、活動時間が20分~30分伸びていることが分かります。

 

 

30分なんて大した時間でないように思われるかもしれません。
しかし、1日の活動時間が増加することで、帆奈や関節、筋肉などの運動器の衰えが原因となる「ロコモティブシンドローム」(通称ロコモ・運動器症候群)や「認知症」の危険度が下がるのです。65歳以上の人が毎日40分活動量を増やすことで、「ロコモ」や「認知症」になる可能性は21%低下するとされています。

 

住宅の断熱改修をして暖かい家に住むことは、このように健康に重要な影響を与える活動量を増やすことにつながります。
慶応義塾大学で、室温と健康の関係を研究する伊香賀俊治(いかが・としはる)教授は、次のように述べています。「断熱改修をして家の中が暖かくなると、知らず知らず室内での活動時間が長くなるんです。こたつ依存の生活から、こたつのいらないアクティブな生活になるのでしょう」。

 

室内の熱は「窓」から逃げる

冬の住宅内の窓からは、室内の熱の58%が出て行ってしまいます。そのため、冬の冷えのもと、とも言えるこの窓の断熱対策をすることは、室内での活動量を増やし健康寿命をのばすためには必要不可欠なのです。

 

窓の断熱性を高めるには、窓を替えることです。方法は二つあります。
ひとつは、今ある窓にもう1枚窓をプラスする「内窓」を購入すること、もうひとつは今の窓から「高性能の窓」に取り換えることです。

 

金額は工事を請け負う工務店や窓の性能にもよりますが、内窓を1枚取り付けるのは3〜5万円程度、高性能の窓だと10万円程度が市場価格です。内窓を取り付けるのも、高性能の窓に取り換えるのも、ものの数時間で済みます。

 

より簡単、低コストで断熱するならプチプチシート

賃貸に住んでいたり、窓に数万円も出せない、という人には他の方法もあります。
ハニカム状のスクリーンを窓にカーテンのように取り付ける、あるいは緩衝材に使われるプチプチのシートを窓に貼ることで断熱効果を得られます。

 

高断熱住宅を4手掛けて20年の一級建築士、加藤真哉(かとう・しんや)さん(奥山建設)は、断熱の仕組みを次のように説明します。「断熱って何かといったら“動かない空気”なんです。気泡のかたまり、空気が動かないからこそ熱が伝わりにくい(熱が外に逃げにくい)。ダウンジャケットも羽毛布団も同じ原理です」

 

断熱スクリーンやプチプチのシートを窓に下げ、空気の層を作ることで、工事不要で断熱ができるのです。熱を逃さない、あったかハウスで健康的な生活を送りましょう。

 

※本稿は、笹井恵理子『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)の一部を再編集したものです

 

文/藤澤緑彩

 

室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』光文社
笹井恵理子/著

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