BW_machida
2021/12/20
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2021/12/20
鳥は恐竜から進化したと言うけれど、ほんとう? と疑っている人におすすめなのが、大きなハシビロコウ。立ったときの頭頂の高さが1.4メートルにもなる、怪獣みたいな鳥だ。大きなくちばしは長さ23センチ、幅10センチもあって、いつも不敵な笑みをうかべている。くちばしの先はきゅっと細く、意地の悪そうなかぎ型に曲がっている。
ハシビロコウが熱帯の沼地や湿地で待ちぶせるのは、ナマズ、ウナギ、ヘビ、それに大好物のハイギョ。ワニの赤ちゃんまで食べる。灰色のまぶたでゆっくりとまばたきしながら、じっと水面を見つめている。でも突然、首をつき出してごちそうをひっさらい、強力なかぎ型のくちばしで、えものの首をちょん切る。たいていはひとりでしずかにしているが、くちばしを鳴らす音はマシンガンのようにけたたましい。意地悪なこの鳥は、自分より弱い相手と見れば、きょうだいさえ攻撃する。くちばしでさんざんつついて、巣から追い出してしまうのだ。
こんなに恐ろしいハシビロコウも、いまは絶滅の危機にあり、保護を必要としている。それに、とてもかわいいところもある。くちばしはたしかに怖いが、いくらなんでも大きすぎる。ヒナは頭が重すぎてバランスをくずし、ひっくり返ってしまう。くちばしを鳴らすたびにゆらゆら揺れる、頭のてっぺんにひょっこりつき出た羽も、ユーモラスだ。ぎろりとおっかない目さえ、よく見るとおちゃめに見えてくる。そういうことに気がついたら、ハシビロコウを怪獣だなんて、もう思えない。
ハシビロコウ
学名:Balaeniceps rex
カテゴリー:危急-野生における絶滅のおそれが高い
成熟個体数:3,300~5,300
生息場所:アフリカ
脅威:種の存続を脅かす数々の脅威にさらされている。鳥類取引のため狩猟・捕獲が増えているほか、農業、山火事、干ばつ、環境汚染によって生息地が破壊されている。家畜に巣を踏み荒らされている証拠も見つかっている。
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