akane
2018/08/20
akane
2018/08/20
Genre: Art Rock, Electronic, Avant-Pop, Ambient
Low−David Bowie (1977) RCA, US
(RS 251 / NME 14) 250 + 487 = 737
Tracks:
M1: Speed of Life, M2: Breaking Glass, M3: What in the World, M4: Sound and Vision, M5: Always Crashing in the Same Car, M6: Be My Wife, M7: A New Career in a New Town, M8: Warszawa, M9: Art Decade, M10: Weeping Wall, M11: Subterraneans
デヴィッド・ボウイ通算11作目のアルバムにして、ベルリン時代の幕開けを告げる1枚がこれだ。本作は発表当初、賛否両論を呼んだ。レーベルの重役は「これはボツにして、もっと『ヤング・アメリカンズ』みたいなのを作ってよ」と本人に手紙を書いたとか。いやボツにならないでよかった。なぜならば本作は、とくにサウンド面で、文字どおり「ロックの未来予想図」となった1枚だからだ。
問題視された理由は、まず第一に「歌ものらしい曲」が計5曲(M2、M3
ベルリン時代のボウイを語る上で、欠かせない人物がブライアン・イーノだ。ロキシー・ミュージックのキーボーディストとして世に出た彼は、つまりはかつてのボウイ同様グラム・ロッカーだったのだが、このときはアンビエント音楽の先駆けともなっていた。彼とボウイが共作したのがM8「ワルシャワ」で、本作全体のトーンを象徴する1曲だ。このほかイーノは全編にわたってキーボードなどで活躍した。
この当時のボウイは、クラフトワークなどの電子楽器を多用したドイツ産ロックに傾倒していた。そんな彼の指向性をしっかりつかんで伸ばしたのが、共同プロデューサーのトニー・ヴィスコンティだ。彼が導入した最新鋭機器、イヴェンタイドH910ハーモナイザーは、スタジオに革命を起こした。とくにスネア・ドラム。各曲で聴ける、色鮮やかに弾けるような破裂音の魅力――このスネア・サウンドが、ニューウェイヴ、ポスト・パンクの時代に、いったい幾度模倣されたことか。
もっと正確に言うと、「本作がなければ」ニューウェイヴ、ポスト・パンク以降のロック音楽の全体像すら、まったく様相は違っただろう。それほどまでの、桁外れのインパクトをいきなり世に投げかけたのが、突如「アート指向」となった、このときのボウイだった。ここから『ヒーローズ』(77年)、『ロジャー』(79年)と続くのが、ボウイの「ベルリン三部作」だ。
次回は67位。乞うご期待!
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
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