【第5回 】もう間違えない! 正しいオイルの選び方
友利 新『女医が教える食の処方箋』

 

みなさん、こんにちは。今回は、オイルの正しい選び方についてお話させていただこうと思います。体にいいもの、悪いもの…。そして食生活への上手な取り入れ方についても要チェックしてくださいね。

 

◎よく聞く「トランス脂肪酸」とは?

 

私はいわゆる「サラダ油」は買いません。炎症を助長するオメガ6が多いのはもちろんですが、はっきり申し上げますと、その多くが化学的に作られた人工的なオイルだと思っているからです。「ヘルシー」や「トクホ」を謳ったオイルもスーパーに売られていますが、とんでもない! よくよく裏側の表示を見ると、まったくヘルシーでないこともしばしばあります。自然な方法ではない、化学的な方法で作られているオイルは危険なのです。

 

原料を一度に大量に溶かすために、溶剤を使用し、その後で高温の熱を加え、溶剤を気化する抽出法を「溶媒抽出法」と呼び、ほとんどのサラダ油はこの抽出法で製造されています。

 

これにより一度に大量のオイルを製造できますが、落とし穴もあります。

 

まず、高温で処理する抽出法では「トランス脂肪酸」が発生します。

 

トランス脂肪酸とは、自然界にも多少は存在しますが、化学的に発生したトランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化の原因になってしまいます。

 

また、トランス脂肪酸が増えると、オメガ6やオメガ3などの必須脂肪酸が細胞膜を作るのを邪魔してしまい、細胞の機能が低下してしまいます。

 

このため、トランス脂肪酸は、世界的にも摂取制限を設ける方向にあります。

 

「トランス脂肪酸」=危険なオイルだと思って下さい。

 

更に原料を高温処理をすると、トランス脂肪酸以外にも発ガン性が疑われている有害物質の発生が危惧されています。

 

そして、何より原料に含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素も失われ、「空っぽなオイル」になってしまうのです

 

では、どのオイルがいいのかというと、なるべく「低温圧搾」いわゆる「コールドプレス法」で作られているオイルを選ぶといいでしょう。低温圧搾で作られたオイルは、化学的なものを使わず、昔ながらの自然な方法で作られています。トランス脂肪酸も発生しないですし、化学変化を起こして発ガン性の物質を生み出すこともありません。

 

◎オイルはどんどん酸化する! 保存方法にも注意

 

オイルの何が怖いかというと、どんどん進行する「酸化」です。少々お値段の張るようないいオイルを買ってきても、封を開けた瞬間から酸化は始まっています。例えば、いいエゴマ油を買ってきたとしても、開封して1年間ぐらいずっとキッチンに置かれている状況では意味がありません。放っておくと、みるみる酸化していきます。

 

昨今では、さまざまなオイルが売られていますが、その容器も多種多様。プラスチック製やビン、中には小さく小分けパックにされているオイルもありますね。その中でどの容器を選べばいいのかというと、容量がなるべく小さく、使い切りやすいタイプのものを選ぶのがおすすめ。オメガ6の宝庫でもあるサラダ油(しかも大容量)のまとめ買いなんて一番危険です。

 

中でもオメガ3は火を通すと劣化してしまうし、酸化もしやすいもの。そういう意味では、カプセル状にして売られているサプリメントや、1食分ずつ小分けにされているタイプのオイルなどはフレッシュな状態で酸化を防いでくれます。市販のアマニ油やゴマ油が小さな容器や小分けパッケージで売られている理由は、食べる直前に開けられるようにするためなのです。

 

また、ビンに入っているオイルはできるだけ暗いところに置いておくのがベター。冷蔵庫に入れる必要はないですが、熱や光を吸収すると劣化してしまうので注意が必要です。意識的に置き場所を見直してみましょう。

 

プラスティック製のパッケージも火の元に近づけず、暗いところに保存しておくほうがよいです。そして、開けたらしっかりとふたを締め、なるべく早くに使い切る。これがオイルパワーを温存する保存方法の基本です。

 

◎目的別におすすめのオイルはこれ

 

「美容にはどのオイルがいいのでしょう?」とよく聞かれますが、正直なところバランス次第で美容にも健康にもつながるのがオイル。すべて大切なオイルではあるのですが、あえて分けるとすれば、美容にはやっぱりオメガ3です。ダイエットに関しても、やっぱりオメガ3になります。これまでの連載でお話してきたようにオメガ6との拮抗関係から体に炎症を起こさせないようにしてくれますし、意識的に摂ることで身体もお肌も安定します。

 

最近、話題になっている「MCTオイル」もエネルギーに変わりやすいオイルなので、美容・ダイエット向きといえるでしょう。上手に摂取すると、脂肪を燃やしやすくしてくれます。オメガ3、6、9とは別のカテゴリーではありますが、ダイエットに向いているオイルだと思います。

 

健康向きなのは、オメガ9。オメガ9が入ったオイルの代表格であるオリーブオイルにはポリフェノールやビタミンEといった体に欠かせないものが入っているので、しっかり採っていくことが大切です。

 

しかし、これまでの連載でもお話してきたように、もっとも大切なのはライフスタイルに合わせ、バランスよくいいオイルを摂っていくこと。美しく、健康でい続けるためには何より“バランス”が重要なのです。

 

◎食べ物を選び、いいオイルを摂取する

 

オイルは油からではなく、食べ物から摂取することもできます。意識的に自分に足りない“いいオイル”をチョイスしていきましょう。

 

例えば、お肉を食べて筋肉をつけたいという方は、サプリメントでオメガ3を取り入れてみる。糖質オフを実践している方は、油の観点からいうとオメガ3を摂れるお魚を食べるほうが美容と健康にいいですし、お野菜を食べるときも調理で使われている油の正体をチェックしたほうがいい。

 

お肉をよく食べる韓国の方は必ずシソやエゴマの葉っぱで巻いて食べているそうです。韓国の方々の肌がお綺麗な理由はここにあるのかもしれませんね。私も、焼肉を食べるときは意識的にシソやエゴマの葉っぱを巻いて食べるようにしています。

 

ただ、バランスをとりたいからといって外食するたびにわざわざオリーブオイルを持っていくわけにはいきませんよね。一番手っ取り早い方法は、自宅の食事でオイルのバランスを調整することだと思います。たとえば、私は自宅でサラダを食べるときは、オリーブオイルやアマニ油を入れて、バルサミコと塩コショウで味付けします。そうやって子どもたちに食べさせるようにして、バランスを調整しているのです。

 

今回は、正しいオイルの選び方についてお話させていただきましたが、いかがでしたか? 購入するオイルや保存方法、オイルパワーを持つ食べ物の選び方など、少し意識するだけでもみなさんの未来の健康がガラリと変わってきます。ぜひ、オイル生活にチャレンジしてみてくださいね。

女医が教えるオイルの処方箋

友利 新(ともり あらた)

医師(内科・皮膚科) 琉球大学医学部 非常勤講師。沖縄県宮古島出身。 東京女子医科大学卒業。 同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。 現在、都内のクリニックに勤務の傍ら医師という立場から、美容と健康を医療として追求し、美しく生きるための啓蒙活動を雑誌・TV などで幅広く展開中。 また、2014 年の出産を機に、安心安全なベビースキンケア商品を欲し、「ベビー予防スキンケア」というコンセプトで自ら研究開発、商品化。そして起業し、医師、母、社長、と多忙な毎日を送っている。 2018年8月には、原材料の油にこだわり、化学調味料、酸味料、着色料、香料全て不使用のカレー「くせになるこだわりの スパイス&オイルカレー」(http://shop.mediskin.jp/product/detail/49 )を開発。2019年4月には、化学調味料、香料、増粘剤不使用でオレイン酸とαーリノレン酸の含有率にこだわった「くせになるこだわりのオイルドレッシング」(http://shop.mediskin.jp/product/detail/51)を開発。2004年第36回準ミス日本。 2016年第9回ベストマザー賞【経済部門】受賞。 子育て応援・ママ応援大使。二児の母。美と健康に関する著書も多数。
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