羽生結弦 疲労を蓄積させない「プチ・アイシング」法
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フィギュアスケート四大陸選手権で9日、総合299.42点で初優勝を果たした羽生結弦。試合前のウォーミングアップだけでなく、試合後の身体のリカバリーも重要だと、元専属トレーナーの菊地晃氏が著書『強く美しく鍛える30のメソッド』で述べている。オリンピックでも羽生に行っていたリカバリー術とは? 日常のストレス緩和にも応用できるメソッドを紹介する。

 

■大切なのは、試合の後の「リカバリー」

 

トレーナーとしての僕の大事な仕事のひとつに、試合を終えた選手への「アイシング」があります。

 

最近ではフィギュアスケートの会場にも製氷機が設置されていますが、僕の場合は整氷車でリンクの表面を薄く削ったときにできる、氷の削りカスを使います。数ミリに削られた氷はちょうどシャーベット状になっていて、足をまんべんなく包んでくれるのです。

 

この処置をするかどうかで、ケガや疲労の回復の早さも変わってきます。ちょうど野球でも、投げ終わったピッチャーが、ひじを冷やしていますよね。あれと同じことです。

 

冷やす時間は人それぞれですが、10~15分程度がよいでしょう。それ以上だと、逆に健康な組織を傷めてしまう可能性があるのです。

 

アイシングは試合の直後、酷使した筋肉を冷やすことで一度、血流を滞らせることが目的です。アイシングを外したときに、酸素や栄養を豊富に含んだ血液が流れ込み、蓄積した疲労物質や老廃物を排出。回復も早くなるのです。

 

■実践メソッド 疲労を蓄積させない新習慣「休憩時間のプチ・アイシング」

 

アスリートに限らず、パソコンでの作業が増えたことで、指先や手首が痛む方、腱鞘炎に悩む方も少なくありません。腱鞘炎は血行が悪いことも要因のひとつだと思います。仕事の合い間に手を流水で2~3分冷やし、血流を悪くさせることで、その後、新鮮な血液が送り込まれます。

 

ただし、繰り返しの使用による骨の痛みの場合は、東洋医学的な考えでは氷等で冷やしてはいけません。骨は「冷」を好み、「冷」によって傷つけられます。

 

ですので、シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎などとも呼ばれる。脚をよく使うアスリートに見られる、ひざから足首の内側にかけて痛みが発生する症状)のような場合は、流水等で10分程度冷やし、タオルで水分をよく拭き取り、ペーパータオル等を巻き常温よりも少し温めることをお勧めします。

 

料理のときに使うキッチンペーパーでも構いません。

 

 

手を使う作業をした後に、1 ~2 分ほど流水に手をさらす。グーパーを繰り返すと、ポンプ作用が働いて効果的。

 

菊地晃(きくち・あきら)
1956年宮城県生まれ。’90年、「寺岡接骨院きくち」を開業。さまざまな不調や怪我を抱える数多くのアスリートや患者を診てきた。接骨院での施術の傍ら、毎週日曜に体幹トレーニング教室を開催し、多くの小中学生を指導している。2020年東京パラリンピックに向け、パラアスリートのサポートも行う。

イラスト/株式会社ウエイド

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菊地晃

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