2019/03/11
でんすけのかいぬし イラストレーター
『失われた世界』光文社古典新訳文庫
アーサー・コナン・ドイル/伏見威蕃/訳
ドイルといえばシャーロック・ホームズを書いた人!というイメージがあるけれど、実はSFも書いていたんです~ッ!
(そんなの知ってるよ!という声が聞こえる気がする 笑)
まず、表紙をペロッとめくって目次を流し読みしたあと、次のページを見て欲しい!
この本に登場する“チャレンジャー教授”に扮した著者のドイルのコスプレ写真が載っていて、私はちょっと笑ってしまった。
***
新聞記者のマローンは意中の女性グラディスに結婚を申し込もうとした瞬間、「英雄のお仕事を成し遂げるような男らしい人が好きなの」と断られてしまう。
愛するグラディスに良いところを見せたい一心のマローンは、「恐竜のいる大地を発見した!」という論文を発表し嘘つき呼ばわりされている変人チャレンジャー教授に出会う。
彼の論文が嘘ではないことを証明すべく、チャレンジャー教授の主張に異議を唱えるサマリー教授、スポーツ万能・射撃の名手ロクストン卿とともに、チャレンジャー教授が発見したという恐竜が今も生きている場所を証明する旅に出る。
果たして恐竜のいる大地は存在するのか?
マローンは名声を手にしてグラディスと結ばれるのか?
小さい頃、恐竜図鑑を嘗め回すように見ていた人!←ワタシ。
映画ジュラシック・パークでワクワクした人!←ワタシ。
オススメです!
この本は海外文学ビギナーが読んでも面白と思う。
道中次から次へと事件が起こりコミカルに話が進んでいくので飽きない。
海外文学は「カタカナの名前が覚えられないから苦手」という声もあるが、登場人物はどれもキャラが濃く特徴的な人しか出てこないので、名前を憶えていなくても行動でなんとなく分かってしまうところがすごい。
私のお気に入りはドイルもコスプレしたチャレンジャー教授なのだけど、彼は怒りっぽくて、自己中心的で、上からものを言うタイプで、自分に非があっても素直に認めない。
現実世界にいたら絶対一緒にいたくない人だけど、本から出てこない限りはものすごく魅力的で、いてもらわなきゃ物語が薄味になりそうだ。
キャラクターなのでドイルがコスプレするのも分かる気がする。
怒り狂うと取っ組み合いの喧嘩とかするので最高に面白い。
“大人気ない”という言葉がピッタリ。
意中の女性のために冒険をしているならばツラい冒険の最中にはその女性のことを思い出して頑張ろう!と勇気を出したりするのだろうが、目の前で実際に起きている出来事が魅力的すぎて冒険心に火が付いた!ということなのか、微塵もグラディスのことを思い出していないところが笑える。
この時点で、恋<冒険になっているのではないのかしら。
果たして恐竜のいる大地は存在するのか?
マローンは名声を手にしてグラディスと結ばれるのか?
「えーーーーッ!」という結末が待ってるかも……。
ちなみに私が「えーーーーッ!」となったところは、“登場人物は全員オッサン”みたいな挿絵に気を取られてスッカリ読み落としていたマローン君の年齢が23歳だったことです……。
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『失われた世界』光文社古典新訳文庫
アーサー・コナン・ドイル/伏見威蕃訳