akane
2018/09/13
akane
2018/09/13
I:師匠キャラの水鏡先生という人がいて、彼が劉備に「伏(ふく)竜(りゅう)と鳳(ほう)雛(すう)を手に入れれば天下を獲れる」と語るんですね。
ただ、伏竜の孔明と鳳雛の龐(ほう)統(とう)を手に入れたにもかかわらず、劉備は天下を獲れなかった。龐統にいたっては「どこで活躍したっけ?」くらいの感じで戦死しちゃう。
馬超っていう、ウルトラセブンみたいな兜をかぶった超カッコいいキャラがいるんですよ。張飛と一騎打ちをして引き分けるくらい、ものすごく強い馬超が仲間になって「またスゲーのがきた!」となるんですけど、劉備軍に入ってからはいるのかいないのかよくわからない。
※伏竜と鳳雛……池の中に潜んでいる竜と、鳳凰の雛。三国時代、司馬徽(水鏡)は、蜀の諸葛亮をさして伏竜に、龐士元(龐統)をさして鳳雛と評した。転じて、世間に知られずにいる大人物と将来有望な若者のたとえ。
※張飛……蜀の勇将。年少の頃から関羽とともに劉備に仕えて軍功をあげ、劉備が蜀の帝位につくと車騎将軍、司隷校尉となった。だが、部下に厳しすぎたため、部下に殺された。後の小説や戯曲には、劉備の影を薄くするほどの活躍を示す人物として登場。関羽とともに古来より中国の民衆に最も愛されている。
T:鳴り物入りで入団したけど……みたいな。
I:例えるなら、ドラゴンボールでヤムチャが味方になる感じ。栽培マンにも勝てないの?みたいな。
※ヤムチャ……『DRAGON BALL』に登場するキャラクター。得意技は「狼牙風風拳(ろうがふうふうけん)」。「強くて悪い砂漠のヤムチャ」として登場したが、天下一武道会でのジャッキー・チュン(亀仙人)戦から栽培マンとの相討ちに至るまで、常に前座の引き立て役に甘んじ続け、最終的にはほぼモブキャラと化した。
※栽培マン……『DRAGON BALL』に登場するキャラクター。ナッパとべジータが地球に襲来したときに使った生物兵器。全部で6匹登場。その中の一匹が、ヤムチャを道連れに自爆した。
T:強さのインフレについていけなかったわけですね。
I:はい。ものすごく脱線しちゃったけど、とにかく劉備が負けたことにものすごいショックを受けたわけです。トラウマですよ。
T:きれいなハッピーエンドではない、子供心を裏切る展開。
I:男の子は『三国志』でこういう物語を学ぶんだけど、女の子には何があるのかな? 『フランダースの犬』? わかりませんが(笑)
I:そういう前置きがありまして、酒見賢一先生の『泣き虫弱虫諸葛孔明』はどういった作品なのか?という話を。
ところでこれは余談なんですけど、『X-MEN』にウルヴァリンっているじゃないですか。なんで彼は人気があるんですか?僕も最近MARVEL作品を観るようになったのですが、主役ってサイクロプスですよね?
T:ヒュー・ジャックマンがカッコいいからじゃないですか?
I:でも、昔あったCAPCOMのゲームでもウルヴァリンが主役級の扱い。彼はちょっと暴れん坊で、女の人が好きで……。そこで僕は考えたんです。「ウルヴァリン=張飛説」を!ちなみに、張飛は中国ではものすごい人気らしいですよ。酒見先生のこの本の中にも書いてあります。
そしてさらに持論ですけど、張飛が好きな日本の三国志ファンは相当な好事家。
T:あー。どういうキャラが好きかは性格診断みたいなところがありますよね。
I:だってウルヴァリンなんて「ストII」でいったらブランカじゃないですか。
※「ストII」……「ストリートファイターII」、通称『ストII』(ストツー)。CAPCOM制作の対戦型格闘ゲームで、爆発的ヒットを記録した。
※ブランカ……『ストリートファイター』シリーズに登場するキャラクター。アマゾンの奥地で育った野生児で、回転しながら飛んで体当たりを喰らわせたり(ローリングアタック)、体から電撃を放ったり(エレクトリックサンダー)といった常人離れした技を使う。本名はジミー。
T:たしかに!(笑)
I:というわけで「ウルヴァリン=張飛説」は、この連載が続いたらもっと掘り下げていきたい。
【後編へ続く】
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