BW_machida
2020/09/04
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2020/09/04
実力面で見ると、明治神宮大会を制した中京大中京が頭一つ抜けた強さを見せていた。
独自大会で154km/hを記録した高橋宏斗がこの世代でトップクラスの投手だったことは間違いない。交流試合では150km/h以上のストレートにスラットを擁して、打力に定評のある智辯学園戦で好投した。実力的には、昨年春夏で甲子園を沸かせた奥川恭伸と比較しても遜色がないレベルに見えた。
また、左腕の松島元希も140km/h中盤のボールを投げられる、2番手とは思えないぐらい高いレベルの投手だ。高橋・松島の2枚が充実していた中京大中京の投手陣はセンバツや夏の甲子園大会を通して見たいチームだった。
野手陣には強肩強打の捕手である印出太一や柔らかさと強さを併せ持つ遊撃手の中山礼都、リードオフマンの西村友哉もいる。2枚看板と世代屈指の攻撃力で、明治神宮大会と合わせて二冠、三冠も狙えたのではないだろうか。
特に今年は実践的な練習や試合ができなかったが、その中での高橋の成長ぶりを見ると、なおさらセンバツや夏の甲子園大会の中止が悔やまれた。
交流試合で最も注目された対戦カードは、大阪桐蔭対東海大相模だっただろう。
全国トップレベルの強力打線が自慢の東海大相模は、去年から中軸を担い高校通算55本塁打を記録している長距離砲の西川僚祐や同じく48本塁打の山村崇嘉、走攻守でバランスが取れて昨年U18代表だった鵜沼魁斗などがコアとして成熟していた。
一方の大阪桐蔭は、監督である西谷浩一氏の手腕はもちろんのこと、逆方向にも放り込めるパンチ力十分の西野力矢や中学時に43本塁打を放ち1年時から大阪桐蔭の4番に座っている船曳烈士、高い打撃センスを見せる仲三河優太といった中軸はこれからも充分に可能性がある選手たちである。さらには、2年生ながらもエース級の実力がある関戸康介と松浦慶斗の左右2枚の投手もいる。
試合自体は、大阪桐蔭が優勢に進める展開になった。初回に先制後はエースの藤江星河が凌いだ上で、6回まで1対0のロースコアで試合が進んだ。
7回表に東海大相模が神里陸のタイムリーで逆転するが、大阪桐蔭は落ち着いていた。その裏にすぐさま追いつき、8回裏には主将である藪井駿之裕が勝ち越しタイムリーを放ち、4対2で逆転勝利した。注目左腕の松浦は2番手で登板したが、難なく東海大相模打線を抑える好リリーフを見せた。
大阪桐蔭は試合運びの巧さや競り合いの強さを発揮し、東海大相模はここ一番の勝負弱さや競り合いの弱さを露呈する試合内容となった。
明石商は昨年の春夏で4強入りを果たしているが、圧倒的な強さというよりは巧みな試合運びや接戦での戦い方の上手さで勝ち上がった点に特長がある。
そのうえで今年は、中森俊介や来田涼斗といったこの世代の投打に渡るトップクラスが最終学年を迎えており、チーム一体となって勝ちにいこうとする思いは昨年以上にあっただろう。
投打のコア2選手の「豪快さ」と昨年によく見られた明石商特有の試合運びの「巧みさ」を上手くミックスできれば、上位進出や悲願の優勝も狙えた。交流試合では、調整不足からか中森と来田には物足りなさはあったものの、3対2で勝利した。
今年は、新型コロナウイルスの影響で甲子園大会は中止になったものの、代替大会として各都道府県で独自大会や交流試合が開催された。
地域大会と交流試合とを同時進行する地域が多かった中で、選手たちは調整が難しかったと思われる。そのようなタイトなスケジュールの中、大会や試合に出場して夏の舞台でプレーできたことは、選手はもちろんのこと、様々な関係者にとっても、今後も起こりうる想定外の問題へ対応するための財産になるに違いない。
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